中国新聞


カナダ発祥 「ノーバディーズ・パーフェクト」導入
マイ育児術 会話で探る
廿日市の岡本さん 自宅に託児施設


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「欠点も見方を変えればプラスよ」。月1回の「フォロー会」で母親に助言する岡本さん(奥右端)

 育児中の母親が悩みや本音を打ち明け、自分に合った育児術を探る「ノーバディーズ・パーフェクト」(NP)の手法を取り入れた託児施設が廿日市市佐方にある。NPのファシリテーター(進行役)養成講座を修了した元保育士の岡本礼子さん(53)が始めた。「気持ちが楽になった」と母親たちに好評だ。(石川昌義)

◇   ◇

 託児施設として開放している岡本さん宅のリビングで母親が口を開く。「近所の子がうちへ遊びに来るようになってね」「靴のそろえ方とか、つい遠慮してしかりにくくない?」

 この日のテーマは「よその子との接し方」。話を聞いた岡本さんは「靴の脱ぎ方を注意する時も『きれいに並べると気持ちいいよね』って、プラスのメッセージを発信するといいよ」と助言した。

 ▽否定しない

 カナダで親教育プログラムとして生まれたNPは、「完ぺきな親なんていない」という意味。「否定しない」がルールだ。物事をプラスにとらえ、好ましい行動を積極的に動機付ける。

 岡本さんは昨年暮れ、大阪市であった進行役の養成講座に参加した。その後、計3回の講座を自宅で開催。参加した親は月1回のフォロー会を楽しみにする。定期的な顔合わせは、親同士の仲間づくりの場でもある。

 2歳の長女と夫の3人暮らしの主婦佐々木真理子さん(35)=廿日市市=はかつて、子どもと向き合うしかない「密室の育児」に悩んでいた。NPに出合う前の自分を、佐々木さんは「理想の母親像に自分を押し込め、がんじがらめになっていた」と振り返る。

 泣きやまない娘、帰宅が遅い夫…。いらだちが募る中で、会への参加は、本音を打ち明け、他の家庭のありのままに耳を傾ける機会となった。「ほかの母親も同じように悩んでいる。今のままでいいんだと、自分を受け入れられるようになったのが大きい」と言う。

 一方、「話のまとめ役がいるのがNP活動の魅力」と主婦の川本昭子さん(31)=同。「母親だけの集まりだと、声が大きい人が目立って口ごもる人も出てくる。NPは進行役が全員の話を引き出してくれるから、安心感がある」と話す。

 ▽真剣に聞く

 核家族化が進み、自分の子育てに不安を募らせる親が増える今、NPが注目され始めている。中国地方でも、行政や大学が相次いで講座を開催する。岡本さんは「親の声を真剣に聞くことがNPの目的。『こうしなければ』という育児情報があふれる今こそ、問題の解決策は一つじゃないことを知ってほしい」と語る。

 岡本さん宅の託児施設は、アトリエREITel0829(32)7489。

(2009.10.27)

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