中国新聞


広島市の在宅勤務試行 7人参加
本格導入へ課題検証


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自宅マンションでパソコンを使って仕事をする岩佐さん

 ▽「育児負担減」「制約多い」

 広島市が自宅で勤務できる「テレワーク」の試行を始め、通常は本庁舎(中区)や市内の事務所に勤務する職員7人が参加している。通勤時間がかからず、幼い子どもを育てている職員に好評だ。一方、在宅勤務に適した仕事は少なく、参加できる職員が限られるなどの課題も浮かんでいる。

 試行期間は9月28日〜11月20日までの約8週間で、通常と同じ午前8時半から午後5時15分まで勤務する。職員はパソコン、携帯電話などの機器の貸し出しを受け、インターネットの接続料は自己負担となる。テレワークはTele(遠隔で)とWork(働く)の造語である。

 参加者は男性5人、女性2人。本庁舎の保健医療課に勤務する岩佐弘恵主事(37)は週1回、西区の自宅マンションで在宅勤務する。長男喜規君(3)を保育園に送った後、始業時にパソコンのウェブカメラで上司に報告し、仕事を始める。昼休憩や終業時もカメラをつないで連絡する。

 在宅勤務では、担当する保健施設の事務文書などをパソコンで作成する。岩佐さんは「普段なら40分かかる通勤時間がなくなり、子どもの送り迎えに余裕が生まれた。昼休憩に家事もできて、助かる」と喜ぶ。

 一方で、岩佐さんは「関係部署と連絡が必要な業務が多く、個人情報の資料も持ち出せない。週1回の今以上に在宅勤務を増やすのは難しい」とも話す。

 市職員の勤務時間は始業と終業時間が条例で定められており、融通が利かない問題もある。例えば、急に子どもを病院に連れて行く場合、有給休暇を取る必要がある。病院に行った時間分を後で働いて帳尻を合わせることは現状ではできない。

 全国の自治体では滋賀県近江八幡市が2005、06年度に試行した。同市総務課は「窓口部門など参加できない職員が多く、定着しなかった」と説明する。都道府県では佐賀県が07年度から試行。青森県も今月から1カ月半、総務省と合同で実証実験している。

 広島市の福岡美鈴人事課長は「勤務時間の弾力的な運用を可能にする方法があるかなど課題を整理し、来年度から本格導入をするかどうか検討したい」と話している。(滝川裕樹)

(2009.10.16)

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