広島都市圏で相次ぐ
広島都市圏の金融機関が相次いで、子育て世代へのアプローチを強めている。銀行の施設を会場にした育児相談会など、お堅い印象を和らげ、気軽に立ち寄れる雰囲気づくりに力を入れている。 ▽親しみが増す雰囲気づくり 制服姿の銀行員が、乳児を連れた母親をエスコートする。「ベビーカーはお預かりしますよ」「泣いても平気。ゆっくりしてくださいね」…。広島市南区のショッピングセンター「ゆめタウン広島」にある広島銀行の出張所での光景だ。 普段は営業戦略を練る場の会議室で開いた「子育て相談会」。助産師の山根美喜子さん(52)=南区=が人形を使って、乳児とのコミュニケーションのこつを教えた。銀行や生命保険会社のイメージキャラクターの縫いぐるみはあっても、「勧誘トーク」は一切ない。 3カ月の娘を連れた主婦溝部恵さん(29)=東区=は「現金自動預払機(ATM)の列に並んでいた時、行員に『参加してみませんか』と誘われた。同じ立場の親の声が聞けてよかった」と喜ぶ。妊娠8カ月の主婦山本香奈江さん(31)=中区=は別の支店の顧客。「学資保険の相談に行ったら、このイベントを紹介されて…。人生設計の相談も親身に応じてくれそうで、信頼感が増した」と話す。
銀行の会議室を使った子育て企画は、広島銀行では初の試み。ショッピングセンターという立地から、家族連れの利用が多いことに着目した。同出張所の盛恒子課長は「『銀行がこんなことまでするの』という驚きから、当行に親しみを感じてほしい」と話す。 新興住宅団地の一角に昨年12月、開店した広島信用金庫西風新都支店(安佐南区)のロビーには、絵本やおもちゃをそろえた「キッズスペース」がある。古田健司支店長は「住宅ローンの借り換えなど、時間がかかる相談の時でも子どもが退屈しない。職員の目も行き届くので安心」とアピールする。 夏休み中は、ロビーにカブトムシやクワガタを展示したり、木工教室を開いたりする。月2回ペースで開く母親向けのヨガやガーデニング講座の講師は、団地住民に依頼している。古田支店長は「子育て世代の心をつかむと、生涯にわたる末永いお付き合いができる。ビジネス面だけでなく、地域のコミュニティーづくりのお世話もしたい」と意気込んでいる。(石川昌義) (2009.8.7)
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