中国新聞


自転車3人乗り 7月1日解禁
適合車 安心と戸惑い
中国地方 手順点検や研修会


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「幼児2人同乗基準適合車」の特長を説明する松浦所長

 幼児2人を自転車の前後に乗せる3人乗りが7月1日、安全基準に達した自転車に限って解禁される。ただ、基準適合車への買い替えなど、負担もまた生まれる。歓迎や戸惑いなど、反応はさまざまだ。 高額が悩み 助成金望む声

 「堂々と乗れるようになるのはいいですね」。7カ月の乳児の母福本真紀さん(33)=広島市中区=は喜んだ。月に2度、子育て支援サークル「げんき発信隊」が市中央公民館(中区)で開くオープンスペース。同じ参加者の主婦大下桃子さん(35)=東区=も「小さい子を乗せての運転は不安。しっかりした自転車が売り出されるのはうれしい」と続いた。

 これまで道路交通法違反(乗車制限違反)だった3人乗り。今回、安全基準に達した自転車に限り、6歳未満の幼児2人までが同乗を認められる。要件は「幼児2人を乗せても十分な強度を持つ」「走行中ハンドル操作に影響が出るような振動が発生しない」など六つ。各メーカーは開発を急ぐ。

 例えばブリヂストンの「アンジェリーノ」は3段変速付きで6万5800円。フレームの剛性を高め、スタンドもどっしり安定。別売りの幼児用後部座席を取り付けることで3人乗りに対応する。ブリヂストンサイクル広島営業所の松浦章所長(56)は「スタイリッシュなデザイン。座席を取り外し、かごに付け替えれば通常の自転車として使えます」とPRする。

 ただ、安い買い物ではない。他メーカーの基準適合車も5万〜8万円となりそう。「今すぐに買い替えることはできない」。中区の双子の母(37)は打ち明ける。買い替えを考える中区の主婦(33)は「子どもの安全が第一だけど、あまりに高いようならねえ…」。若いお母さんの多くは、安全と値段の板挟みで悩む。

 「行政からの助成金やレンタル制度がほしいですね」と話すのは、3歳と1歳の子をもつ中区の奥田和華子さん(34)だ。確かに数は少ないが、そんな自治体もある。前橋市は基準適合車の購入にあたり、最大4万円まで、半額を補助する。「子育ての支援とか少子化対策というなら、その辺に配慮してもらえれば助かるんですが…」。奥田さんは言葉をつないだ。

 条件付きで認められた3人乗り。多くの母親が口にするのは「適合車でないこれまでの自転車は乗れないの?」だ。ただ、これまで注意に止まってきた経緯もある。今後、適合車でないことを理由とした即時の摘発はなさそうだ。

 それでも、子育て支援の3人乗りが解禁され事故が増えては本末転倒。広島県警交通企画課の横山樹久夫管理官は「自分だけでなく、子どもの安全のためにもしっかりした自転車で、ルールを守って運転してほしい」。街頭での指導のほか、子どものヘルメットの着用なども同時に呼び掛ける構えだ。(藤田龍治)


3人乗りの6要件
(1)幼児2人を同乗させても十分な強度がある
(2)幼児2人を同乗させても十分な制動性能がある
(3)駐輪時の転倒防止のための操作性、安定性を確保する
(4)自転車のフレームや幼児用座席が取り付けられるハンドルなどに十分な剛性がある
(5)走行中、ハンドル操作に影響が出るような振動が発生しない
(6)発進時、走行時、押し歩き時、停止時の操縦性、操作性や安定性が確保されている

(2009.6.30)

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