中国新聞


英語へ親しみ 絵本朗読会
子ども向け 地域で広がる


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「葉っぱのフレディ」を洋書で輪読する岡山大公開講座の参加者

 小学校で英語が必修化される2011年度を前に、子どもが英語に触れる機会を増やす取り組みが、地域で広がっている。「語学力を生かしたい」「実は英語を教えたことが…」。ご近所の隠れた逸材が、英語嫌いの子どもを減らす主役になるかもしれない。

 ▽「担い手」募る公開講座も

 福山市神辺町の市かんなべ図書館は、毎月第3土曜に「外国語絵本のおはなし広場」を開く。朗読するのは、少女時代の2年間を米国で過ごした同町在住の2児の母、藤田由美子さん(36)。3年前に朗読会を始めた。

 6月の絵本は、尾道市因島出身で米国在住の絵本作家カザ敬子さん作の「おおかみのチキンシチュー」。藤田さんの英語に続き、図書館司書が日本語で読み聞かせる。朗読だけでなく手遊びや歌を交え、子どもが飽きない工夫をこらす。

 藤田さんは「英単語や文法の丸暗記じゃなく、絵本を使って異文化への拒否反応を薄めてほしい」。図書館は外国語絵本の蔵書を約300冊に増やし、藤田さんを支える。

 英語絵本の朗読会は、中国地方では広島市中区、光市の公立図書館が毎月開いているが、まだ珍しい。そこで、岡山大教育学部は6月から、「担い手」を掘り起こす公開講座を始めた。

 「長母音のある『トール』(背が高い)は『トォ〜ル』とゆったり読んで。音は感情と深いかかわりがあります」。日本でもベストセラーになった「葉っぱのフレディ」の洋書を手に、福永信哲教授(60)=英米児童文学=は参加者に助言した。

 十数人の参加者の経歴はさまざま。公民館で日本語絵本の朗読ボランティアを続ける岡山市北区の主婦古徳奈保子さん(68)は「孫に聞かせたい」と参加。「英語に関心のある親は多い。将来、役に立ちそう」という岡山市南区の大田彩友美さん(28)は観光案内所で日々、外国人に接している。

 高校の英語教師もいる。育児休暇中に参加した大口千恵子さん(34)=岡山県早島町=は「受験英語では学べない表現の奥深さを、まずわが子に伝えたい」と張り切る。

 英語に自信がある人材が多くいることを示すデータがある。広島市教委が昨年募集した小学校英語の非常勤講師は、約80人の採用枠に230人が名乗りを上げた。「30〜40歳代の女性が中心」(企画課)という。

 福永教授は「女性の高学歴化が進み、英語の教員免許を持っていたり、会社で英語を使う仕事をしていた人も多い。こんな人たちこそ、子どもが英語に慣れ親しむ『種まき役』になってほしい」と呼び掛ける。(石川昌義)

(2009.6.26)

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