中国新聞


川崎病


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広島市民病院小児 循環器科主任部長
鎌田政博さん

 川崎病に寄せられた質問・相談について、広島市民病院(広島市中区)の鎌田政博・小児循環器科主任部長に回答してもらった。(上杉智己)

 <問い>症状5つでも診断なく不安

 息子(3)は一歳半のころ、高熱や発疹(ほっしん)、手足の腫れなど川崎病の六症状のうち五つがみられ、小児科を受診しました。「川崎病ではない」と検査をしませんでしたが、大丈夫だったのか今でもすっきりしません。(呉市・女性・33歳)

 <答え>冠動脈瘤あるか検査を

 川崎病の六症状のうち五症状を認めれば、「川崎病確実例」と診断されます。その最も重要な合併症である冠動脈瘤(りゅう)は、発症から十日前後に形成されますが、多くの場合は自然に改善していきます。そのため、川崎病にかかったころ冠動脈に異常があったかどうかは、今心臓の超音波検査をしても分かりません。

 しかし最も重要なのは冠動脈瘤を今も持ち続けている場合であり、その際は治療も必要となります。少なくとも一度は超音波、心電図検査などを受けておくことをお勧めします。

 <問い>姉妹間で感染しますか

 次女(3)は一年前、高熱、発疹が出て指先の皮がむけました。病院では「川崎病ではない」と言われました。でも、かつて長女が川崎病だったので心配です。姉妹で感染したり、かかりやすかったりしますか。川崎病だったかを確かめる方法はありますか。(広島市安佐南区・女性・36歳)

 <答え>発生率高いが伝染せず

 川崎病の主要六症状のうち認めたのは四項目以下で、冠動脈の異常がなければ「川崎病疑い例」と診断されます。一年経過した現在、川崎病であったかどうか確かめる術はありませんが、お姉ちゃんが川崎病だったこと、指先の皮がむけたことからも川崎病であった可能性が高いでしょう。

 川崎病患者の兄弟姉妹が川崎病になる確率は2%前後と、一般の発生率(0・2%以下)に比べ高率です。ただし人から人に伝染するわけではありません。まずは超音波検査を受けることをお勧めします。

 <問い>退院し経過観察

 一歳の息子が川崎病と診断されました。退院し、服薬しています。今後は外来で経過観察すると医師から言われましたが、どんな検査をするのでしょうか。心臓の後遺症は心配ないようですが、病院は長期間通うのでしょうか。経過によっては将来の運動制限もありますか。(広島市西区・女性)

 <答え>節目ごとに検診 高校卒業で終了

 外来での検査は、心エコー、心電図検査が主体になります。心臓の後遺症がない場合、私たちの施設では退院後一、三、六カ月、その後は発症一―二年ごとに定期検診を行い、小学校入学後は一年、四年、そして中学一年、高校一年などの節目に検診を行っています。経過観察終了は高校卒業時点としていますが、女性の場合、冠動脈後遺症を残しているかどうかで妊娠・出産時に特別な管理が必要かどうか決まるため、この時に後遺症の有無、妊娠出産の問題などについて説明しておくことが重要になります。

 なお冠動脈の後遺症がない場合、運動制限は不要です。

 ▽分かりにくい医療用語を募集

 患者会の情報提供などをしている民間団体「いいなステーション」(川崎市)は、患者や家族が病院や医療分野で分からないと感じたり、勘違いしたりした言葉を募集している。

 専門用語などへの誤解から生じる医療不信や不安の解消につなげるのが目的。全国約四十の患者団体に協力を呼び掛けるほか、一般の人もインターネットで参加できる。来年一月十二日までで、指摘の多い言葉は正確な意味の解説を付けインターネットで公開し、本や冊子にすることも考えるという。

 アドレスはパソコンがhttp://bgenki.jp/ 携帯電話がhttp://bgenki.jp/m/

(2008.11.7)

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