広島県教委 一定の学力必要 広島県教委は、いじめを受けている県立高校の生徒について、学校が加害者に指導するなどしても、学業の継続が著しく困難な場合に限り、転校を認める方針を決めた。小中学校では既に認めているが、県立高は入試による選抜を理由に保護者の転居以外は認めていなかった。 県教委指導二課によると、二〇〇七年度にいじめを理由とする転校の相談があったことや、いじめによる自殺が全国的に社会問題化したことなどから四月、県内すべての県立高校長に通知した。 具体的には、いじめを受けた生徒が転校を希望し、校長が緊急でやむを得ないと判断した場合に、県教委が適否を判断。転入学者選抜試験を実施し、一定の学力があれば認める。試験の時期、方法は「弾力的に取り扱う」としている。 県教委は、これまで加害者側への指導や学校内での解決を基本にいじめ対策を進めており、最終的に加害者の退学処分も可能という立場を示している。ただ、電子メールを使った仲間はずれ、集団による無視など、いじめの潜在化が進んでいることも踏まえ、対策の選択肢を広げた。 県内の公立校のいじめ認知件数は、〇六年度七百八十四件(うち高校は九十七件)となっている。 いじめの定義拡大により、〇五年度の三百四十七件(同五十六件)と比べると大幅に増加したが、ピークだった一九九四年度の千四百十九件(同百五十二件)からは、ほぼ半減している。(永山啓一) (2008.7.9)
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