学童保育の半数がパンク 広島市教委147施設調査 小学校低学年を放課後に預かる、広島市の「留守家庭子ども会」百四十七施設のうち、半数近くが定員超過であることが十九日までに、市教育委員会の調べで分かった。子どもを狙う犯罪への警戒感による需要の高まりも背景の一つ。保護者や指導員でつくる市学童保育連絡協議会は、近く改善を求める要望書を市へ提出する。 保護者ら改善訴え 本年度の入会児童は六千三百八十一人で、昨年度より百八十四人多い。過去十年間では約千六百人の増加だ。国が示す定員の目安「四十人」に対し、市内全施設の受け入れ児童の平均は四三・四人。五割近い七十施設で定員の目安を上回る。二倍以上の八十五人に上る場所もある。 一部の施設は一、二年生に受け入れを制限し、三年生は児童館や住民が指導員を務める「放課後プレイスクール」に通う実態もある。保護者には「指導が行き届く留守家庭子ども会に行かせたい」との意見が根強い。 市教委は本年度、増加傾向が著しい西区などに三施設を新設。学校の特別教室を利用して一施設を二分割する「臨時増設」も九カ所で実施し、児童の過密化の解消を進めるが、対応し切れていない。 改善要望書を準備している同協議会の西原泰会長は「過密化で家庭のようにはくつろげず、子どもにストレスがたまっている。厳しい財政状況だろうが、子どものためにもっと予算をさいてほしい」と訴えている。 同様の「放課後児童クラブ」は全国に約一万七千施設あり、約七十五万人が利用。共働き家庭の増加や犯罪の影響で利用者が増え、過密化や待機の増加が問題になっている。 厚生労働省は昨年十月に初めてガイドラインを示し、望ましい規模を「四十人」とした。改善を促すために二〇一〇年度以降は、七十一人以上のクラブへの補助金を打ち切る方針である。 市教委放課後対策課は「当面は臨時増設を基本に対応しながら、将来的な利用者数を見極めて新設を検討したい」と説明している。(西村文、新宅愛)
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