中国新聞


少子化と働く環境アンケート
仕事・育児「両立困難」4割


 中国地方の二十、三十歳代の男女百人を対象に中国新聞社が実施した「少子化と働く環境の関係についてのアンケート」は、複数の子どもを持ちたいと希望しながらも、働く環境によって子どもの数を抑えざるを得ない実態があることをあらためて示した。対策では、仕事と子育ての両立に向けた職場の環境改善や、保育所のサービス充実などを求める声が目立った。

■働く環境の影響■ 子の数 希望とギャップ

グラフ「働く環境によって希望する数の子どもを育てられない理由」
グラフ「少子化対策で望む内容」

 働く環境が原因で希望通りの人数の子どもを育てられなくなる可能性は、「ある」「少しある」合わせて計84%の人が認めた。理由として「正社員でないため雇用が安定していない」は一割余り、「収入が少ない」も二割余りと比較的少数派。多かったのは「仕事と育児の両立が難しい」と「現在は良くても年金などを考えると将来が不安」で、各四割を占めた。当面の収入面より、仕事との両立や将来の生活の不安の影響が大きいことをうかがわせた。また、ある程度の収入はあっても「自由になるお金が減る」ため子どもの数を抑えざるを得ないとの受け止めも32%あった。

 一方、希望する子どもの数は「二人」が46%、「三人」も17%に上った。「何人でも」の1%を含めると、二人以上欲しいと考えている人は合わせて64%を占めた。しかし現実には、一人の女性が生涯に産む子どもの数の平均を示した合計特殊出生率は二〇〇三年に過去最低の一・二九まで落ち込んでいる。希望する子どもの数と出生率の差は、希望しながらも働く環境などが出産を抑制している可能性を示した。

■少子化対策■ 職場改善望む声 過半数

 少子化対策で望む内容(複数回答)は、「仕事と育児を両立しやすい職場の環境改善」がトップの55%で唯一、過半数を占めた。男女別、年代別でもいずれも最多で、仕事を続けながら育児ができる環境整備が強く求められている。

 続いて「保育所の時間延長など支援施設の充実」が46%、「出産、子育て後に再就職しやすい雇用環境」が42%、「児童手当の増額や所得制限の廃止」が41%。保育所や再就職、手当など直接効果がある支援策を望む声が強い。

グラフ「子どもは何人ほしいですか」

■自由意見■ 生活・将来の不安目立つ

 自由意見では、将来も含め、生活をしていく上での不安感を口にする人が目立ち、男性の育児休業取得の促進などを求める声が聞かれた。

 広島市安佐北区の会社員男性(29)は「収入が不安定なため多くの子どもを満足に育てる自信がない」。出雲市の会社員女性(25)は「年金の減額など今から老後が心配。育児費がかさめば、子どもをあきらめねばならない」と考える。

 企業への要望は、男性の育児休業取得の促進が相次いだ。呉市のパート従業員の女性(28)は「男性がもっと休みを取りやすくなれば、子どもを産み育てやすくなる」。広島市西区の会社員男性(34)は「休みの取得に後ろめたさを感じる。休みやすい雰囲気づくりが必要」と指摘した。

 保育所など託児施設に対する要望も多く、柳井市の公務員女性(35)は「施設が増えて料金が下がれば、子どもを多く育てられる」と言う。岡山市の自営業男性(28)は「多様化するライフスタイルに適応できる施設がない」と、受け入れ時間の柔軟化を求めた。

 少子化による影響について、福山市の会社員男性(29)は「次世代を担う労働力が減り、国力が落ちる」とみる。周南市の会社員男性(35)は「過去につくられた法やシステムでは対応が難しくなっている」と、抜本的な改革を求めた。

■「子ども1人まで」48%

(2005.5.24)


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