広島県・県警・広島市 通報想定し初の訓練
広島県と県警、広島市は1日、坂町の県警察学校で、児童虐待の通報に適切に対応するためのロールプレー方式の合同訓練を初めて実施した。県内全4カ所の児童相談所の職員や、警察官たち計約70人が参加。児童虐待の相談件数が増加を続ける中、子どもを守るための連携を確認した。 訓練は、児童相談所に「隣家から子どもの泣き声や親の怒鳴り声が聞こえる」という通報があったとの想定。児童相談所は、両親に出頭要請をしても応じないため、強制捜索できる許可状を家庭裁判所に申請した。 県警に連絡し、職員6人と警察官2人で家を訪問。ドアチェーンを切断して室内に踏み込み、母親からたたかれる生後6カ月の男児を発見した。警察官が暴れる父親を取り押さえる間に、職員が男児を救出した。 これまでに県内で強制捜索したケースはないが、参加した市児童相談所の浜口俊治主査(57)は「緊急性が高い時は、ためらわずに強制捜索もしていく」と話した。 県によると、昨年度の児童虐待の相談は2398件と4年連続で過去最多を更新。内訳は身体的虐待が1060件(44・2%)と最も多く、言葉の暴力など心理的虐待718件(29・9%)、育児放棄などのネグレクト577件(24・1%)と続く。相談は本年度に入っても増加傾向にあるという。 県警少年対策課の池田泰明課長は「実務を担う児童相談所と警察官の連携をより深めるため、年1回は訓練を続けていきたい」と話していた。(根石大輔、折口慎一郎) (2013.11.2)
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