「要望強い」「序列生む」 文部科学省が全国学力テストの学校別成績を2014年度から市町村教委の判断で公表できるようにする方向で検討している。公表について中国地方5県では、広島、岡山両県の知事、教委と鳥取県教委が「保護者や地域に公表を求める声が強い」などと賛成する一方、山口、島根両県の知事、教委が「過度な競争や地域の序列化につながる」と反対。賛否は二分している。 市町村教委が学校別の成績を公表できるようにすることが望ましいか否かを尋ねた文科省調査に、賛成と回答した岡山県の伊原木隆太知事は「地域や保護者のニーズは高く、市町村教委や学校は説明責任を果たすべきだ」との立場だ。広島、岡山、鳥取の3県教委も同様の見解を示す。 広島県の湯崎英彦知事は回答が期限に間に合わず、調査では「無回答」とされたが、「公表を進めるべきだ」との考えだ。 鳥取県の平井伸治知事は「その他」と回答した。同県は情報公開条例に基づいて請求があれば、学校別の成績を公表している。 一方、山口、島根両県の知事と教委は、市町教委が学校別成績を公表することを禁じる「現状維持」を支持した。山口県の山本繁太郎知事は「学校間の過度な競争や地域の序列化につながる」と懸念。島根県教委は「児童、生徒の意欲低下につながる恐れがある。現時点で公開への強いニーズがあるとは考えていない」との見解だ。 賛成の立場でも学校や子どもへの影響を懸念する声はある。学校別成績の公表が可能になっても、広島県教委は小規模校の成績を「個人の成績が特定されかねない」と公表しないよう市町教委に配慮を求める方針だ。木原健次長は「公表は学校や児童、生徒に奮起してもらうのが狙い。扱いには慎重を期したい」と話している。 (2013.10.22)
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