東広島の小学教諭 自身モデルに出版
東広島市高屋町の小学校教諭鎌田俊三さん(59)が27日、難病のパーキンソン病と闘いながら読み語り活動を続ける自身をモデルにした児童書「パオ〜ンおじさんとの夏」を出版した。声が出なくなる不安と向き合い、11月10日には仲間とともに読み語りを交えたコンサートを開く。 鎌田さんは2006年7月に1冊の絵本「カメラを食べたゾウ」を出した。世話をする人がいなくなった戦争中の動物園で、空腹のあまりカメラを食べてしまう象の実話を基にした。本を知った天王寺動物園(大阪市)の職員からすぐに連絡があり、同園で毎年続く読み語りが始まった。 同じ年の10月、パーキンソン病と診断された。唇が震えて言葉がうまく出ない。筋力が衰えて黒板に思い通り字が書けない。2年前に休職願を出した。それでも「声が出る限り、子どもに平和の尊さを伝えたい」と読み語りは続けてきた。 7年ぶりの著書には自身がモデルの「パオ〜ンおじさん」と、夏休みの読み語りを楽しみにする小学生の「平和君」が登場する。2人の交流を通じ、戦争の悲惨さと難病への理解を訴える。 一度は諦めた執筆を再開できたのは、全国パーキンソン病友の会の仲間がいたから。生き生きと話す姿に励まされた。「何を一人で悩んでいたのか。子どもたちに病気のことを知ってもらおう」。思いが膨らみ、背中を押された。 新日本出版社刊、109ページ、1470円。全国の主要書店で扱う。コンサートは広島市南区の区民文化センターで午後1時半から。パーキンソン病であると公表したシンガー・ソングライターの樋口了一さんを招く。入場料999円。実行委員会事務局=電話082(221)3206。(新山創) (2013.9.28)
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