中国新聞


ストレス強まる傾向 大竹市のこども相談室10年
訪れない子への支援が課題


   

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10年にわたり相談業務に携わる船本室長

 大竹市教委のこども相談室が開所から10年たった。当初から不登校や虐待などの相談業務に携わってきた船本哲生室長(56)に、この10年の変化などを聞いた。

 ―相談件数の傾向は。

 電話と面接で年間900〜1000件。大きく変わってはいない。定着してきたのだろう。発足前に中学教諭をしながら相談を受ける適応指導教室を9年間続けていた。その経験や実績を引き継いでいたため、当初から認知されていた。

 ―児童・生徒にどう対応していますか。

 まずはホッとする環境づくりを心掛けている。数人のときもあれば10人以上が通うときもある。小規模なので、一人一人に合わせた対応ができる。

 ―相談内容や子どもの置かれている状況に変化は。

 ストレスをためる傾向がだんだん強くなっている。家や学校で我慢を強いられることが多くなった。限界まで頑張ると、学校に行きたいが体が動かないという状況になる。これまで問題がなかった子が突然しんどくなってしまう。

 また、いったん引きこもると長期化する。ネットの発達で疑似的な人間関係をつくることができ、退屈しないし人恋しさも紛れるからかもしれない。

 ―どんな対応に力を入れていますか。

 保護者との面接が大きな柱。特に子どもの一番近くにいる母親への支援が重要になる。核家族化が進み、母親が孤立するケースも目立つ。孤軍奮闘し一人で抱え込んでしまう。

 ―大竹での特徴は。

 学校や福祉分野との連携が緊密だ。経済的な問題がある場合など、家庭を支援するには連携が欠かせない。教員や家庭児童相談員、地域を含めてケース会議を持っている。

 ―今後の課題は。

 最近は相談室にも来ない子が増えてきた。新しい支援の形を検討しないといけない。手紙やメールで連絡を取り合うなどこちらからの働きかけも必要になる。併せて地域が総力を挙げて支える仕組みもつくっていきたい。(聞き手・古市雅之)

(2013.5.16)


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