広島の女児監禁事件 入退室を保護者にメールも
学習塾帰りの子どもをどう守るか―。広島市西区の小学6年女児(12)が連れ去られた事件は、安全対策の難しさを投げ掛けた。全国学習塾協会(東京)は、具体的な方策をまとめた同協会のガイドラインの活用を訴えている。 協会理事を務めるパワーゼミ西本塾(福山市)の西本雅明代表は、女児が塾から離れた場所で、一人になったところを襲われた点を問題視。ガイドラインに沿って、子ども一人にしない▽塾職員から見えないところで、親を待たない▽通塾圏の安全マップを作り職員が見回る▽保護者だけでなく地域と協力して見守り体制をつくる―などと提言する。 ガイドラインでは他にも、集団での下校の実践▽保護者の送迎を極力求める▽不審者に遭遇した場合は大声で助けを求めるよう子どもに指導する―などの防犯対策を盛り込む。 西本代表は、他の塾に対しても安全対策マニュアルを早急に作るよう勧める。「通塾中の子どもの動きを塾と保護者が普段から把握することがポイントだ」と話す。 協会加盟の田中学習会(広島市安佐北区)は、ガイドラインに基づき、子どもがICカードを読み取り機に差し込むと、塾への到着、塾から帰ることを保護者にメールで通知するシステムを導入。職員が玄関前に立って見守りにも努める。 ことし4月、協会が設けた安全対策などが一定ラインに達している塾を認証する制度に申請。8月末に取得した。今回の事件には関係ないが、さらに防犯ブザーの支給を検討している。全職員に一人で帰る子どもの人数の把握など通塾方法の再点検も急ぐ。田中弘樹塾長は「職員が少ない教室もあり、塾から離れた場所の見守りには限界がある」と難しさを口にする。「社会全体の協力も得て解決したい」と訴える。(川井直哉、石井雄一) (2012.9.7)
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