「感染リスク」国は警鐘 「不活化」計画が拍車 乳幼児のポリオ(小児まひ)の定期予防接種で使われる生ワクチン接種を控える動きが、今年に入って中国地方でも見られる。副作用でごくまれにまひが起こる生ワクチンを親が避ける傾向に加え、副作用がないとされる不活化ワクチン導入を厚生労働省が計画しているのが拍車を掛けているとみられる。厚労省は「導入は早くて2012年度終わりごろ」とし、接種控えに警鐘を鳴らす。 厚労省によると、生ワクチンの4〜6月の接種人数は昨年同期に比べ全国で約18%減、中四国では約15%減った。同省結核感染症課は「保護者による接種控えが要因」とみる。 2回接種する生ワクチンは、国内では100万人に約1・4人の割合でポリオと同じまひを発症。過去10年間に全国で15人がポリオ予防接種による健康被害を受け、国の救済制度を利用した。一方の「不活化」は、既に導入している欧米諸国では4回以上の接種をしており、副作用でまひは起きないとされる。 生後5カ月の長男を育てる広島市西区の主婦(32)は「副作用の確率は低いと言われても不安。(不活化が)導入されると聞いていたので、それまで待とうと思った」と話す。 不活化ワクチンは国内では現時点で未承認のため、費用は自己負担の上、接種の際に健康被害が生じても公的救済を受けられない。 それでも「保護者に選択肢を示すべきだ」として不活化ワクチンを輸入して提供する医療機関もある。広島市内のクリニックは9月に1回5千円で投与を始め、年内の予約はいっぱいという。 予防接種を先送りすれば、海外の流行地域から持ち込まれるウイルスなどにさらされる危険性もある。同省は「不活化ワクチン導入までには期間があり、接種を控えれば感染リスクが高まる」とし、従来の生ワクチン接種を呼び掛けている。(馬上稔子)
(2011.10.30)
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