中国新聞


小中生22人どこへ 広島県内に住民登録
1年以上通学せず 虐待の恐れも


   

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 広島県内に住民登録していながら1年以上通学せず居場所も分からない小中学生(居所不明児)が22人(5月現在)いることが、30日までに分かった。昨夏の大阪市での幼児餓死事件を受け、文部科学省が全国の市町村教委に報告基準の順守を求めたためで、報告漏れがあった前年の1人から大幅に増えた。家庭内暴力にさらされたケースもあり、専門家は実態把握を訴えている。

 文科省の学校基本調査(速報値)によると、全国でも居所不明児は1183人と昨年の3・6倍に上った。中国地方5県は計42人で27人増えた。

 広島県の内訳は小学生13人、中学生9人。市町別は広島市18人(前年0人)、府中市3人(同0人)、北広島町1人(同1人)。広島、府中両市は居所不明児の存在をつかんでいたが、昨年は報告していなかった。

 市町村教委は住民基本台帳で入学前の子どもを把握し、名簿を作成。その後、1年以上所在が分からなくなると名簿から削除し、別の名簿に記載して国に報告する。ところが、手続きを定めた国の通達は約50年前と古く、全国的に運用があいまいになっていた。

 広島市教委は昨年まで、在学中に居所不明になった場合だけを報告。入学時から一度も学校に来ないケースは報告から漏れていた。

 広島県内の小3男児は入学前、保育園から米国人の母親が男児を連れ帰り、行方不明に。母子で日本を出国したことまで分かったが、「それ以上は追跡のしようがない」(該当の教委)。父親の暴力から逃れるため母親と近畿地方に転居した深刻な例もあった。

 比治山大短期大学部の森修也教授(社会福祉学)は調査結果について「学校に通えない上、医療を受けられず、命の危険にさらされている恐れもある。正確な情報を関係機関が共有し、連携を強めるべきだ」とする。(教蓮孝匡)

(2011.10.1)


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