福山市と広島県 施設整備で独自の動き
福山市は2011年度、市内で発達障害児向けの施設整備を始める。当初は広島県に補助を求めたが認められず、単独で取り組む。県は市内の県立施設を移転し、発達障害者への対応を強化する。並行する市と県の事業の間に、連携のビジョンはまだ描かれていない。 市は、三吉町南の市保健センター1、2階を「こども発達支援センター」に改修する。「幼児期での発見と対応が重症化を防ぐ」などとして、対象は未就学児に限定。保育所などとの地域内連携も柱に据えた。12年度中のオープンを目指す。 県は、15年度をめどに津之郷町の重症心身障害児(者)施設「県立福山若草園」を移転し、発達障害の外来診療を強化する。患者の年齢制限は設けない。 市は08年度以降、市内への療育施設整備を目指し、県に財政支援を要望してきた。県は理解を示す一方で、市とは別に発達障害者への対応を検討。築49年の若草園改築を検討する中で同園の診療機能拡充を決め、市の要望への「答え」とした。 県社会福祉部の鹿田一成部長は「県の役割は専門医療機関の確保。市が求める地域内連携は含んでいない」と説明する。求める機能のずれが、それぞれ独自の動きを生んだ。 16日の市議会予算特別委員会である市議は「就学を境に支援が断ち切れるようなことがあってはいけない」と指摘した。市の発達支援センターの対象年齢を超えた子どもが、若草園を利用しにくくなるなどの事態を懸念する声がある。市も県も、連携の必要性は認めるが調整は具体化していない。 県東部子どもの療育を守る親の会の奥土居康子会長(45)は「私たちはただ必要に応じた支援を求めているだけだ。行政間の垣根を低くしてほしい」と、県と市をつなぐパイプの強化を願った。(門脇正樹) (2011.3.24)
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