中国新聞


少年の社会貢献試行
社会に触れて再犯防止へ 広島保護観察所
来月から 介護補助や清掃


 広島保護観察所(広島市中区)は4月から、保護観察中の少年たちを地域の清掃活動などに参加させる「社会貢献活動」を試行する。2012年度以降に全国での本格実施を目指す法務省が、重点地域の一つに指定した。同所は県内で活動の場を提供する公共、民間団体や市民グループの協力を呼び掛けている。

 家庭裁判所で保護観察処分を受けたり、少年院などを仮退院したりした少年を中心に、同所が対象者を判断基準に基づいて選ぶ。試行では本人の同意を得て実施する。保護観察期間の最初の5カ月間に毎月1回の活動参加を計画している。

 具体的には、障害者施設でのボランティア▽福祉施設での介護補助▽公園や河川敷の清掃―などを想定。地域や住民と関わることで、集団に溶け込み、社会のルールを守る意識づけを促し、再犯防止につなげる狙い。

 同省は、本格実施では社会貢献活動を義務付ける方針で、更生保護法改正の準備を進めている。

 先行実施するのは、全国に50ある保護観察所のうち広島と岡山を含む24所。広島、岡山はともに全国で13の重点モデル地区に選ばれた。4月から保護司や関係機関との調整に入り、9月ごろから参加させる予定だ。広島保護観察所の西村公雅(まさのり)所長は「地域での体験を重ねる中で、自信を持つ少年は多い。幅広い分野の協力を得たい」としている。(鴻池尚)


保護観察中の社会貢献活動 罪を犯した人を社会の中で更生させる目的で、保護観察処分を受けた少年や仮釈放者に公共施設の清掃活動などを義務付ける施策。2010年2月、法制審議会が導入への法整備を求める要綱をまとめ、法務相に答申した。米国や英国では裁判所が判決で命じるが、法務省は保護観察対象者ごとの「特別順守事項」の一つに加える方針。

(2011.3.11)


子育てのページTOPへ