中国新聞


広島県立高の食堂 存続の危機
自販機一般入札でPTA手数料収入ゼロに


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昼休憩に多くの生徒が詰め掛ける宮原高の食堂。本年度中の業者の撤退が決まっている

 広島県立高の自動販売機設置業者を一般競争入札で選ぶ県教委の決定で、呉、竹原市の一部で高校内の食堂の廃止や存続が危ぶまれる事態が起きている。PTAなどが自販機を管理して得た手数料を、赤字が多い食堂の運営費に充てていたができなくなるため。関係者は存続へ向けた努力を始めた。

 これまで県は、県立高同窓会やPTAに無償で、自販機を設置する場所の使用を許可。3年更新の許可を受けてPTAなどは自販機設置業者と契約し、売り上げの一部を手数料として得ていた。

 芸南賀茂4市1町の県立高は計18校で、11校に食堂がある。県教委の決定で、呉市では1校が本年度中の廃止を決め、1校は委託業者が撤退。呉、竹原市の各1校は経営状態悪化などを懸念し、存続が未定となっている。

 呉市の宮原高は、PTAが委託する業者が本年度末で撤退する。この業者が自販機設置業者と契約。5台の売上手数料の20%を受け取り、長年続く赤字を補〓(ほてん)してきたが、手数料収入なしでは4月以降の営業は難しいと判断した。

 食堂に関し、PTAは昨年9月、全校規模でアンケート。約99%が必要とし、PTA直営などを含め存続の可能性を模索している。岡川晴美PTA会長(43)は「多くが食堂を必要としている。なんとか存続させたい」と力を込める。

 呉市の別の県立高は昨年12月、本年度中の食堂廃止を決めた。自販機4台の手数料(年間約90万円)と食堂・売店の売り上げ(同約360万円)の計約450万円で食堂を運営してきた。支出は昨年度約470万円。自販機からの収益なしには存続できなくなった。

 自販機の一般競争入札は2011年度、芸南賀茂で呉、東広島市と大崎上島町の計5校も対象になる。県教委は「歳入確保のためやむを得ない。手数料の相当額を新年度以降、各校に還元したい」とする。

 ただ、こうした県費をPTA費にはできず、食堂運営には充てられない。高校関係者は「食堂は食事だけでなく、交流の場であり生徒の精神的な支えにもなってきたのに」と余波を嘆く。(小林可奈)


自販機設置業者の一般競争入札 県教委が新年度から導入する方針を昨年12月、正式に公表。歳入確保が理由で同月から、許可の更新を迎える50校、計179台について入札業者の公募を始めた。2011年度の自販機の入札対象は、県内の28校、計122台になる。
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(2011.1.30)


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