中国新聞


児童施設 善意継続願う
呉でも漫画主人公名乗る寄付


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社会福祉法人に届けられたコメ袋を受けとる仁風園の職員(左)

 漫画の主人公を名乗る寄付が全国で相次ぎ、呉市では21日までに市内3カ所の児童養護施設に計9件が届いた。ランドセルやコメ、郵便為替…。これまでも多くの寄付が支えだったが、やりくりや職員確保などで運営は厳しい。「現状を知ってもらう機会になり、善意が細く長く続いてほしい」と関係者は願う。

 ▽職員確保など運営厳しく

 仁風園(仁方西神町)にコメ約30キロと郵便為替1万円分が最初に届いたのは13日だった。ランドセルや野菜などが続き、21日は現金10万円。他の施設にも図書カードなどが届いた。

 経済的な事情などで幼児から高校生まで平均60人が暮らす仁風園で、コメは1日15キロ近く使う。崎本賢次施設長(64)は「子どもの生活向上のため寄付はありがたい」。図書カード1万円分が届いた救世軍愛光園(青山町)の西村保施設長(45)も「応援したいとの気持ちがうれしい。子どもには贈り主の思いを感じてほしい」と話す。

 児童養護施設は児童福祉法に基づき社会福祉法人が設置。一般生活費(食費と被服費)は1人当たり(0歳児を除く)月額4万7千円で、国と県が負担する。ただ、各施設で一定の予算額が決まっているため、野菜などが高騰すればやりくりに追われる。

 施設にとって職員の確保も深刻な問題という。国の基準では、原則として3歳未満の入所者2人につき1人以上の職員を配置。3歳以上就学前は4人、小学生以上は6人が職員配置の基準となる。

 仁風園の指導員・保育士は12人。それでも手いっぱいで今は国の緊急雇用創出事業臨時特例交付金で別に4人を雇用してしのぐ。「一人でも欠ければ他の職員の負担は大きくなる。交付金がなければ厳しい」(崎本施設長)と、関係者は国が今月示した増員の方針を歓迎する。

 各施設の厳しい運営を支えてきた一つは「陰の善意」だ。仁風園では年数回、現金の寄付を20年以上続ける高齢男性がいる。現金や食品などの寄贈を長年続ける個人や団体、農園からの収穫体験の申し出などもある。

 今回にわかにクローズアップされた善意だが、崎本施設長は「新しい人が輪に加わり継続した支援が続いてくれれば」と期待する。(山田太一)

(2011.1.24)


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