中国新聞


中高生ジャズで活気 雲南市加茂町


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迫力ある演奏で満員の観客を沸かせた中高生

 「ジャズでもっと雲南を元気にしたいです」。雲南市加茂町の市加茂文化ホール・ラメールが昨年12月下旬に開いたジャズイベント。詰めかけた約170人の地域住民らに、迫力の演奏でイベントを盛り上げた中高生たちが語りかけた。

 同市や周辺市町の中高生18人が参加するラメールジャズオーケストラ。ホールの呼びかけで2005年9月に結成し、ホールを拠点に週1回、プロの指導も受けながら練習を重ねている。

 演奏後、会場には中高生たちをねぎらう笑顔の輪が広がった。「近所の子の応援で来たけど、演奏を聴くと生き生きするね」と、市南部の吉田町から訪れた主婦小田芳枝さん(70)。バンドリーダーで大東高2年の原名津美さん(17)は「盛り上がったし、少しはジャズの魅力が伝わったかな」とはにかんだ。

 ジャズピアニスト世良譲さんの出身地でもある雲南市。世良さんは年に1、2回、故郷での演奏活動を続けていた。04年に亡くなった後、地域からはジャズの音が聞こえなくなったという。「雲南にジャズの薫りを残したかったんです」。ホールの職員として翌年のバンド結成を発案し、その後も運営を支える広野良明さん(40)は当時を振り返る。

 バンドは徐々に認知度を高め、現在は地域の祭りや軽トラ市など年間約10ステージをこなす。活動を見守ってきた大人たちも触発され、09年には大人のバンドも生まれた。

 市商工会青年部が中心となり、08年に初めて開催した雲南ジャズフェスティバルのきっかけにもなった。「合併後、雲南が一つになれるイベントを模索していた。バンドに出会い、これだと思った」と、藤原真樹部長(38)は語る。実行委員長を務めた昨年夏の第2回は、県内外から11のバンドが参加し、観客約2400人を集める一大イベントとなった。「ジャズによる町おこしを続け、根付かせたい」と語る。

 「雲南をジャズのまちに」との思いから生まれた中高生バンド。加茂町を出発点に、確かに雲南にジャズの音を響かせ始めている。(明知隼二)

(2011.1.10)


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