部活の交流や出前授業 江田島唯一の高校 存続に危機感 江田島市で唯一の高校の大柿高(大柿町、127人)でこの夏休み、市内全4中学と連携した教育活動が動きだした。市内では昨年度と2008年度、相次いで県立高が閉校。住民や保護者から「島から高校がなくなったら困る」などの声が上がり、市教委が大柿高の魅力を高めようと初めて企画した。 「シュートは力を抜いて」―。夏休みの大柿高の体育館。同高と江田島中(江田島町)のバスケットボール部の生徒計約50人がともにボールを追い、高校生は指導役も務める。 バスケ部の交流は3年前に始まり、今年初めて夏休みに江田島中の生徒が4日間、大柿高に通った。移動は市教委が委託したバスで、本年度からの大柿高活性化事業費70万円の一部を活用。部活交流がきっかけで同高に進学したという3年中常愛さん(18)は「先輩と仲良くバスケができたことが進路に役立った」と振り返る。 他の部活でも夏休みに交流が始まり、大柿高教員が市内の中学校で出前授業も開催。9月の大柿高創立70周年では、高校の吹奏楽部と大柿中が協力しイベントも予定している。 市教委が同事業を進めるのは、深刻な過疎化と小規模県立高の統廃合が背景にある。市教委によると、1995年度に1127人いた市内の中学に通う生徒は、本年度は537人で、半数以下になった。 08年度末に大柿高大君分校(大柿町)が、09年度末には江田島高(江田島町)が閉校。大柿高が島内で唯一の高校となったが、本年度の一般入試志願倍率は0・42倍。昨年度の0・58倍に比べ大きく落ち込んだ。 大柿高PTA会長の中福美和子さん(47)は「経済的な理由で島の高校にしか通えない生徒もいる。島全体の問題として活動を広げてほしい」と期待する。(安部慶彦) (2010.8.24)
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