広島市教委「メンター制度」 5年で交流200組超す ボランティアの大人と小中学生が一対一で継続的に交流する広島市教委のメンター制度。2005年度の導入以来、交流実績は211組になった。利用家庭からは「出会いに感謝する」など評価の声が市教委に寄せられている。一方、申し込みの増加や条件の不一致でメンターが決まらない場合も多く、「交流待ち」の状態が続く。(教蓮孝匡) ▽条件不一致など課題も 「早く交流日が来ないかなあ」。安東小2年の橋本さららさん(8)=安佐南区=は、放課後や休日にメンターの浜村由美さん(57)が自宅に来るのを心待ちにしている。交流日にはボードゲームやトランプをしながら、おしゃべりを楽しむ。 ▽「家族みたい」 「家族といるみたい」とさららさん。ホームヘルパーが本職の浜村さんは「育児経験が役に立ってうれしい」と喜ぶ。行政書士の母明子さん(39)は「私は仕事が忙しく留守をしがち。信頼できる大人がそばにいてくれて助かる」と話す。 同制度は経験豊かな大人が、保護者と過ごす時間が少なかったり、学校生活に悩んだりする子どもの成長を支えようと、市教委が全国に先駆け導入した。 メンターには特別な資格は必要なく、主婦や元教員、会社員、学生たちが登録。週に1、2回ほど担当の小中学生を訪ね、遊びや勉強、相談の相手になる。期間は原則1年。 利用を希望する家庭は年々増え、交流待ちの子どもは7月末で154人に上る。一方、メンター登録者258人のうち160人は子どもを受け持っていないという実態もある。 ▽若手望む傾向 条件が合わない理由としては「一緒に外でスポーツがしたい」「友達みたいな遊び相手がほしい」など、子どもの側が、若手のメンターを望む傾向が強いことが挙げられる。メンターの半数近くは60代以上であり、住まいが遠いなどの事情も重なる。 このため市教委は昨年度から、主に市内の大学に出向き、教育などを専攻する学生にメンター登録の呼び掛けを始めた。市教委育成課の足羽真一課長は「口コミで評判が伝わり、利用が伸びている。幅広い年代層のメンターを確保する対策をさらに強化したい」と説明している。
(2010.8.17)
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