中国新聞


体力アップへ独自プラン 呉の白岳小
集団ルール・生活リズム学ぶ
大休憩延長し外遊び/朝会で全身運動


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<左>わくわくタイムでドッジボールを楽しむ児童<右>体育朝会の集団走でサイドステップをする児童

 呉市広駅前の白岳小が、児童の体力向上を目指して独自の取り組みを進めている。屋外で遊ぶために休憩時間を長くし、タオルを使った全身運動も教諭が考案。学校生活に意識的に運動を取り入れることで、児童に集団生活のルールや規則正しい生活リズムを身につけさせる効果も期待している。

 児童は2時間目の授業が終わると同時に校庭へ飛び出した。じょうろの水で地面に線を引いてコートを作り、すぐにドッジボールを始める。「当たった」と、元気な声が響いていた。

 2時間目と3時間目の間の大休憩は、通常20分間。木曜日は「わくわくタイム」として40分間になる。体育の授業以外にも運動する時間を確保するため、昨年5月に始めた。

 校庭と学校に隣接する広公園を使い、クラスごとに遊ぶのが決まりだ。鬼ごっこや長縄跳びで遊ぶクラスもある。5年生の成瀬隆斗君(11)は「わくわくタイムはみんなで遊べるのが楽しい」と話す。

 ▽タオル使って30種

 今年1月からは全校運動を、月2回の体育朝会に取り入れた。1時間目の前に全校児童約960人が校庭に集まり、タオル運動を実践する。体をほぐす多様な動きは約30種類。「体が柔らかくなった」と喜ぶ6年加藤雅歩さん(11)は、週3、4回は家でも愛好している。体育朝会は約15分間で、6月からはスキップやサイドステップなど複数の方法で走る「集団走」も取り入れた。

 広島県教委のまとめでは、児童の体力測定の結果を1985年度と2009年度で比較すると、両年度とも調べた握力、50メートル走、ボール投げのすべてで数値が落ちている。運動をする児童としない児童の二極化も進んだ。1日2時間以上運動する児童の方が、30分未満の児童より、80点満点で10点近く高かった。

 「普段運動をしていないと、まともに走ることもできない。今は学校側が意識的に体力向上に取り組む必要がある」。竹越哲夫校長(56)はそう説明する。体力向上に力を入れ始めてまだ日が浅く、統計的な効果は確認中だが、バランスや体力が必要な片足立ちが長時間できる児童が増えているという。

 ▽仲間の協力不可欠

 わくわくタイムと全校運動は、集団生活のルールを学ぶのにも役立つ。遊びや運動を楽しむには仲間の協力が欠かせないからだ。2学期からは6年生がリーダーを務める学年を超えた遊びのグループづくりも計画する。

 遊びや運動は「規則正しい生活」の習慣化にもつながる。5年生の森桶竜一君(10)は「わくわくタイムの日は給食をいっぱい食べる」という。走り回り、ご飯をしっかり食べ、疲れた体を休ませるため早く寝る…。白岳小PTAの清水利憲会長(46)は「外で遊ぶ子どもが増えた。児童がさまざまな運動に親しめるよう、取り組みを広げていってほしい」と期待している。(加田智之)

(2010.7.19)


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