海田おもちゃの病院 「もったいない」 作業見せ伝える
工具箱から取り出したドライバーで車のおもちゃを分解する。「バッテリーが壊れとる。入院が必要」。海田町福祉センター(日の出町)の一室で、「医師」が家族連れに「診断結果」を伝え、カルテに書き込んだ。 おもちゃ修理を続ける同町のボランティアグループ「海田おもちゃの病院」。元技術者たち男性が「医師」、女性は問診や縫合を担当する「看護師」として月2回活動している。 その日に直せない場合は「入院」。2週間後の「退院」時は、持ち主の子どもと医師が握手し、おもちゃを手渡す約束だ。副代表で元発電機器メーカー社員の市川正美さん(64)=同町大立町=は「おもちゃを受け取った時の子どもの笑顔を見るのが楽しみ」と喜ぶ。 グループは2007年3月に発足し、町内外から年間約120件の修理を受け付ける。「完治率」は約9割。「おもちゃが大量に生産、消費される時代だからこそ、物を大切に使う心を子どもたちに伝えたい」と代表の渡部政和さん(67)=同町中店=は語る。 メンバーは地元の60〜70代の18人。子どものころに戦後の物資不足を経験した。「おもちゃは自分で作り、直すのが当たり前だった」と渡部さん。子どもたちに修理作業を見せる。「直せばまだ使える」「もったいない」と感じてもらうためだ。 活動には課題もある。修理費は部品交換などの実費を支払ってもらう場合を除き、基本的に無料。工具や交換用の乾電池の購入費などの費用がかかる。 そこで町が3月、家庭で不用になったおもちゃの回収を町内8施設で始めた。おもちゃの病院が提供を受け、ギアやモーターなどの部品を再利用。修理してバザーなどで格安で販売し、活動費に充てている。 最近は、町内の環境イベントや母親グループの活動での「出前診療」も手掛ける。渡部さんは「わしらがおもちゃを修理した子どもが大人になり、自分の子どものおもちゃを直そうと思ってくれれば」と願っている。(榎本直樹) (2010.7.4)
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