中国新聞


幼稚園でも保育所でもなく
就学前 親子でじっくり
「友の会幼児生活団」30年 広島東区


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指導役の女性から食事作法を教わる4歳組の子ども

 ▽週1回 暮らしの基本学ぶ

 住宅団地にある「友の会」の施設の一角を「教室」として利用している。訪ねた日は水曜日。4歳組(18人)が集まっていた。5歳組(9人)は木曜日、6歳組(15人)は金曜日に通う。

 子どもは食事の作法を習った。指導する女性6人が、手でつかむのは「サル食べ」、ぼろぼろこぼすのは「トリ食べ」などと、よくない食べ方を説明。昼食の時間には、子ども同士が楽しそうに注意し合っていた。

 ▽調理は当番制

 奥の調理場では、エプロン姿の母親がせわしなく動いていた。昼食やおやつは、3、4人ずつの当番制で保護者が作る。当番以外も、多くは別室で下の子を遊ばせたり、育児の悩みを語り合ったり。午前9時15分から午後3時まで子どものそばで過ごす。

 幼児生活団のモットーは、「よく教育するとは、よく生活させること」。指導役は地域の女性たちが担う。保育士資格も教員免許もないが、生活改善の勉強を積み重ねてきた。20年以上、指導にかかわる昌子英子さん(67)は「教育の基盤はあくまで家庭。生活団の集いは、きっかけづくりの場なんです」と説明する。

 週1回の集合日は「ふんぱつこどもの日」と呼ばれる。毎週、手の洗い方や服のたたみ方などの新しい生活習慣を習う。楽しく身に付ける方法を記した「励み表」を持ち帰り、1週間の家での頑張りをチェック。翌週の集合日には一人ずつ成果を発表する。

 濃い付き合い

 「何事も自ら考え、すすんで励む『奮発力』のある子になってほしい」と昌子さん。各年齢ごとにジュウシマツやトマトなどの動植物を世話して、命の大切さや感謝の気持ちも学ぶ。5、6歳組は月曜日、約1時間の「音楽の日」もある。

 今年3月、30期目の17人を送り出し、卒業生は計547人を数えた。ただ、団員は減少傾向にある。1980年代は4〜6歳組全体で80〜70人だったが、2001年以降は40人前後の状態が続く。

 少子化に加え、共働き夫婦の増加が背景にある。子どもを預けて働くのが当たり前の時代。親子で過ごす時間が長く、親同士の付き合いも濃い生活団のスタイルを負担に感じる保護者が増えている、との見方もある。

 長女(3)、長男(1)と4月から通う安佐南区の主婦原真理子さん(35)は「苦になることもある。でも、子どもとべったり過ごせるのって小学校に入るまでだから」と前向きだ。長男、長女に続き次女(3)も仲間入りさせた同区の主婦奥田愛子さん(36)は「ここぞというときに力を出せる芯の強い子に育つ」と実感を込める。

 「幼稚園ではできないことをたくさん経験できた」「生活団で学んだことを子どもに伝えたい」。発足30年の節目に歴代卒業生から寄せられたメッセージだ。こんな言葉もあった。「母に愛されていたと感じる」

 25日には、午前10時から「乳幼児をもつお母さんの講習会」、午後0時半から「幼児生活団紹介の会」を教室で開く。Tel082(223)7121。

(2010.6.21)


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