中国新聞


ほのぼの空間 集う親子
大竹のNPO法人「ハッピーネット」
子育ての悩み相談も


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新聞を切った紙くずで遊ぶ母子たち。学校が休みだった近くの小学生も遊びにやってきた

 子どもたちの歓声が手造りのログハウスに響く。自然に囲まれた大竹市松ケ原町。NPO法人「子育てハッピーネットほのぼのん」が活動拠点とする松ケ原こども館だ。親子で集まり、のんびりと時間を過ごす。

 週3回開く「集いの広場事業」は、市の補助を受けスタッフ8人が担当する。訪れる親子はいつ来て、いつ帰ってもOK。自由に遊んでもらう。「この建物を見ただけで子どもの表情が変わる。他の子と遊んだり、情報交換したりできる」と最近、参加するようになった宍戸理江さん(29)=大竹市木野。

 理事長の浜村史子さん(44)は「いい空気を吸ってゆったりした時間を過ごしてほしい」と目を細める。長男が1歳のころ、同じような年代の母子が自宅に集まり、わいわいと楽しんだ。やがて拠点は公民館へ。2004年7月、こども館に移った。

 もともと楽しみで始めた活動だったが、子どもの虐待など家族をめぐる悲しい話が相次いだ。「何かできることはないだろうか」と本気で取り組み始めた。毎週月曜日は相談に当てる。子育てやお母さんの悩みを聞く。「まずお母さんに元気になってほしい。話を聞くことで少しでも楽になってもらえれば」と願う。

 輪も広がってきた。イベントなどを手伝ってくれるボランティアスタッフにかつて、利用していた母親が参加してくれる。自然体験活動や年3回の情報誌発行など今年は9人が登録した。小西葉月さん(37)=大竹市玖波=は「悩みを聞いてもらい、大丈夫と言ってくれるだけで落ち着いた。子どもが保育園に入ったので、できることがあればと登録した」と話す。

 「子育てが一段落したお母さん、前に通っていた子どもたち、そして地域の方たちが一緒になって成長を見守ってほしい」。浜村さんの思いは着実に実現に向かっている。

 地元の農家は稲作体験で田んぼを提供し、農作業の指導も買って出る。今年も16日に小学生の田植え経験を計画している。もちろんかつて顔を見せていた子どもたちの成長した姿もあるはずだ。(古市雅之)

(2010.5.2)

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