中国新聞


授業づくりの技 教師仲間に発信
広島大付属小の有志 出張セミナー定着化
活発な議論 県外に拡大へ


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フロンティアの会の5人(奥)がリードし、現場の本音を引き出した千年公民館でのセミナー

 広島大付属小(広島市南区)の中堅教諭の有志が、楽しい授業づくりに向けた知恵や工夫を発信する「授業フロンティアの会」をつくり、広く活動している。同小での公開授業や各地の公民館、集会所を巡る出張セミナーを重ね、授業づくりに腐心する教諭に刺激を与えている。

 メンバーの男性教諭5人は17日、福山市沼隈町の千年公民館会議室で、同市内の教諭約25人にプレゼンテーションした。

 広大付小は、小学校ではまれな教科担任制。国語、算数、理科、社会―。担当教科ごとに1人30分ずつ、実践や研さんで得たアイデアや工夫をそれぞれに報告した。物語の解釈を楽しませるための児童への問い掛け、子どもの素朴な疑問を呼び起こす進行のテクニック、教科書の絵柄や図表を使いこなすこつ―。地元教諭は熱心にメモを取っていた。

▽意見ぶつけ合う

 プレゼン後の協議会では、メンバーが互いに疑問や意見をぶつけ合う。他の教諭もつられるように、授業でうまくいかなかったケースなどを明かす。「どうしたら分かってもらえるのか」。議論は白熱した。

 能登原小の檀上由乙子(ゆみこ)教諭(51)は「私たち自身が楽しく学べた。同時に、もっと頑張らないといけないと身にしみた」。教師になって3年目という神辺小の釜山祐幸教諭(25)は「型にはまらない授業展開に触れることができ、新鮮だった」と高揚感をにじませた。

 フロンティアの会は昨年、広大付小の30、40代の6人でつくった。誰からともなく、持ち上がったという。メンバーの中田晋介教諭(37)は「事務処理に追われ、不祥事ばかり取りざたされ、やりがいを見失っていないか。教師の本分である授業を通じて元気を取り戻したい」と意欲をみせる。

 昨年11月に校内で初の公開授業研究会を開いた。地元の小学校などから約80人が集う盛況ぶりだった。その後も月1回ペースで、呉市や東広島市などでセミナーを開催。3月末の第2回公開授業研究会では、県外の教諭や教師を目指す学生も含め75人が参加。他校からの自由発表も初めて募り、公立校などの3教諭が登壇した。

 「学校の枠を超えた仲間がひざを交えて意見を交わし、互いにスキルを高められる場にしたい」と話すのはメンバーの内藤博愛(ひろよし)教諭(38)。セミナーではできるだけ懇親会も設けている。4月に福岡県教育センターへ異動したのに伴い、県境をまたぐ活動にも力を入れる。6月には倉敷市でセミナーを予定する。

▽職員室に元気を

 千年公民館でのセミナーに協力した千年小の寺岡美代子校長(55)は「参加した先生方が、各学校で、ざっくばらんに意見を言い合える雰囲気づくりにつなげてほしい」と見守る。薄れがちな教員同士のつながりをもたらし、「職員室活性化の起爆剤」になると期待している。同会事務局=電話082(251)3027。(松本大典)

(2010.4.26)


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