脱ゆとり ページ4割増 新指導要領下で初
文部科学省は30日、来春から使用する小学校教科書の2009年度検定結果を発表した。内容を拡充した新学習指導要領を踏まえ、学力低下を招いたと批判された「ゆとり教育」から一転、理科、算数を中心に分量が大幅増。各教科平均ページ数の合計は、ゆとり路線を導入した現指導要領下の00年度検定より42・8%増加し、各教科の平均は統計のある1987年度検定以降、いずれも最多となった。 小学校分の検定は6年ぶりで、新指導要領下では初。改正教育基本法を反映し、道徳や伝統文化に関する記述が多数登場。既習内容の反復などに加え、教科横断型や実生活に応用した例題など、学びの質向上を目指した内容も多かった。 ただ11年度以降の主要4教科の授業時間は約1割増で、中身を教えきれるのか懸念も出そうだ。 文科省によると、前々回の00年度に比べ、平均のページ数は理科が67・3%、算数が67・0%増えた。指導要領の範囲を超えた「発展的内容」が初めて盛り込まれた前回03年度比でも27・6%増(主要4教科平均)。教科書会社の多くは薄い用紙を使うため、ページ増分ほどは厚くならないとみられる。 道徳や伝統文化の記述は「おれいの気もちをつたえよう」(1・2年生活)、神話の「いなばの白うさぎ」(2年国語)など随所に登場。5年社会の地図で、日韓両国が領有権を主張する日本海の竹島の記載に「国境線について理解し難い」と検定意見が付き、韓国との間に国境線を引く修正が施された。 5年算数の「台形の面積を求める公式」など前回検定で発展的内容とされた項目の多くが今回は指導要領の範囲内となり、教科書の本文で扱われたため「発展」の記述割合は大幅に減った。 06年度の高校日本史教科書検定で沖縄戦集団自決の記述をめぐり、審議過程の不透明さが問題化したのを受け、今回から公開対象が教科書調査官段階の「調査意見書」や検定審議会部会の議事概要などに広がった。 検定対象は、小学校用148点280冊(分冊などを含む)のほか、現指導要領に基づく高校用(国語、英語)4点5冊で、すべて合格した。10年度は中学など、11年度は高校の検定が実施される。
(2010.3.31)
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