経済的負担も少なく
使い捨てができて便利―と紙おむつが人気を集める中、あえて昔ながらの布おむつでの育児に挑む若い母親たちがいる。繰り返し使えるため、ごみが出ず環境に優しく、経済的負担が少ないのもメリットだ。 晴れた日、防府市の公務員吉田喜久枝さん(30)は、長女光織(みお)ちゃん(1)が使う布おむつを干すのに忙しい。おむつは計40枚。「物を大事にする生活が好き」という吉田さんが、妊娠中の腹帯を縫い直して作った。自らの肌がかぶれやすいことも、より自然な布おむつに引かれるきっかけになった。 交換は、まずお尻に布おむつをあて、カバーを着ける。脱がせたおむつは、便などをトイレに流してから風呂の残り湯を入れたバケツにつけ、下洗いしてから洗濯機で洗う。外出先でぬれると、ポリ袋に入れて持ち帰る。 「おむつは服の一部だし、長く使えば愛着がわく。汚いとは思わないし、洗濯も大変ではない」と吉田さん。快く洗濯を手伝う夫で会社員の和正さん(34)も力強い味方だ。生まれたばかりのころは1日約20回交換し、「替えがなくなる」と焦ったこともあったが、今は1日5回程度の交換で済んでいる。 紙おむつを使っている友人たちからは「ごみの量がすごい」と聞く。商業施設のおむつ替えコーナーでは使用済みおむつの山を見ることも。光織ちゃんがもし紙おむつを使えば、月150枚を消費することになる―。吉田さんは、おむつ離れまで、布おむつを使い続けるつもりだ。 福山市の看護師関弘江さん(34)も、三女の真名美ちゃん(1)を布おむつで育てている。長女と次女は紙おむつだった。心の余裕ができた3人目は、友人の薦めで布に挑戦した。 紙おむつ育児の時は週2日のごみの日に毎回、おむつを袋いっぱい出していた関さん。「出さなくて済む今は、『エコだな』と思う」と話す。思わぬ「ご褒美」もあった。家族や知人からもらった布おむつを使っているため、年8万円かかっていた紙おむつ代も浮いたのだ。 布おむつは、吸収性のよい紙に比べ、もれやすかったり、においやすかったりという欠点もある。「頻繁に交換しなければいけない。でも、その分、子どもと触れ合える。子育ての幸せを感じます」 布おむつ育児普及を目指し、岡山県内を中心に、個人宅などで使い方を教えているのが、オーガニックコットン製品企画販売のマザーゲート(井原市)だ。 保健師と看護師の資格を持つ妹尾晶子店長(31)によると、布おむつに多いトラブルが横もれ。対策としては、おむつがカバーからはみ出ないようにしっかり布を押し込むのがポイントという。 布おむつの洗濯で洗濯機の排水を汚さないために「重曹を使ってみては」と提案する。水4リットルに対して重曹2分の1カップ入りのバケツにおむつをつけ置きし、汚れを落としやすくした上で洗濯機に投入。重曹と天然由来の粉せっけんで洗うと環境への負荷も少なくより効果的と話す。 「布おむつは丁寧に使えば第2子、第3子まで使える」と妹尾店長。「外出時や疲れている時は紙おむつにするなど使い分けてもいい。頑張りすぎずに使ってほしい」とエールを送っている。(治徳貴子) (2010.3.15)
|