中国新聞


自学自習を地域で支援
広島・基町地区女性グループ


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藤井さん(中央)やBBSメンバーに見守られ、宿題に取り組む中学生

 自学自習が苦手な子どもを支援するため、広島市中区基町の女性グループが、地元の基町小を拠点にユニークな勉強会を重ねている。勉強の指導に加え、「空腹では集中できまい」と手料理も振る舞う。地域の大人に見守られ、子どもの学びも定着してきた。

 毎週火曜日の夕方、基町小の一室に学校帰りの中学生がやって来る。大半は、同小の卒業生。中学を卒業し、働きながら専門学校を目指す若者も加わる。多い日は10人以上が集まる。保護司の中本忠子さん(75)たち主催する女性3人が「まあ、腹ごしらえしんさい」と迎える。

 子どもは、地元の女性陣が用意してきた焼きそばやむすびをほお張った後、宿題や問題集を広げる。「先生、分かりません」。SOSが出ると、ボランティアの出番だ。少年の健全育成を目指す青年ボランティア団体「BBS」から、毎週1、2人が指導に訪れる。

 中学1年女子(13)は、同小時代の元担任教諭に参加を勧められた。「中学の授業についていけず、困っていた。1人だとやる気にならんけど、ここなら楽しく学べる」と喜ぶ。この日、10点アップした英語の試験の結果を披露し、みんなで喜びを共有した。

 美容専門学校志望の少年(16)は、中本さんたちと会うのも楽しみだ。「自分の考えを押し付けず、話を聞いてくれるし、本気でしかってもくれる。気持ちを裏切らんよう、しっかり勉強したい」

 中本さんたちは2008年、学校に行けなかったり家庭に居づらかったりする子どもの居場所づくりとして、中央公民館で中学3年生の学習支援を始めた。人の出入りが多く、生徒が集中できないため、同小に協力を求め、会場を移した。

 昨年春からは幅広い年齢層を受け入れ、保護者にも歓迎されている。メンバーの田村美代子さん(62)は「学ぶことは生きる力につながる。困っている子は応援したい」と力を込める。

 食を通した交流にもこだわる。もう1人のメンバー藤井初子さん(62)は「おなかをすかせた子に勉強しろ、と言っても無理な話」と言う。「食事をともにすると連帯感も出る。分からないところを教え合い、しっかり学んでほしい」とほほ笑んだ。(田中美千子)

(2010.3.8)


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