中国新聞


ボール運動で体力アップ
ドッジやセスト 学年ごとに種目
広島の可部小


photo
セストボールをプレーする児童。パスだけでボールを回す

 広島市安佐北区の可部小は、体力づくりの一環として全学年でボール運動に取り組んでいる。集団でのゲームを通じて協調性をはぐくみ、状況判断能力のアップを図る。教員も子ども向けにルールをアレンジするなど、工夫を重ねている。

 3年生26人が体育館で、アルゼンチン発祥の「セストボール」に夢中になっていた。要領はバスケットボールに似ているが、大きな違いは「ドリブル禁止」。周りの動きをよみながらのパス回しが、勝敗につながる。

 通常は1チーム5人の競技。この日、担任の蒲生小百合教諭(46)は3人に減らした。ボールに触れるチャンスを増やすためだ。ゴールポストは高さ1・7メートル。バスケットよりも1メートル低く設定した。蒲生教諭は「運動が苦手な児童にも自然にボールが回ってきてシュートが決まる。体育に興味を持つようになった」と喜ぶ。

 同小は本年度、市の「体力つくり推進モデル校」の指定を受けた。そこで着眼したのが、チームプレーが多く他者とかかわりが必要なボール運動だ。学年ごとに取り組む種目は異なる。

 2年生はドッジボール。ボールを受けて狙った方向に投げる動きを学ぶ。3年生はセストボールで、さらにパスやシュートを習得。5年生でのバスケットボールにつなぐ。昨年9月には全児童701人にスポンジ製ボールを配布。週2回の始業前に遊び時間を設け、ボールに親しむ。

 同小は昨年11月、市内の教員約100人を集めてセストボールの授業を公開し、他の学校でもボール運動を積極的に導入するよう提案した。阪田福三校長は「体育は決まった教科書がない。とりわけボール運動はルールや道具を変えるなど工夫しやすい。教師の指導力を磨く訓練にもなる」と話している。(久行大輝)

(2010.1.25)


子育てのページTOPへ