中国新聞


大学とNPO、育児イベントで連携
岡山の就実大で毎週末


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「虫歯になったら大変」。就実大の施設で母親に話し掛ける歯科衛生士の青木さん(左端)=岡山市中区

 岡山市中区の就実大が、子育て支援に携わる地元のNPO法人と連携し、学内で毎週末に育児イベントを開いている。幅広い人材が集うNPOとタッグを組んでイベント内容を充実し、保育士を目指す学生の意欲も引き出すユニークな実践だ。

 「自我が芽生え始める1歳は、歯磨きするのに一番難しい時期なんです」。就実大が毎週金曜日に開く「親子ふれあいタイム」。今回のテーマは「いやいや歯磨き」。幼児を抱えて畳の部屋に集まった母親たちに、備前市の歯科衛生士青木史江さん(36)が、歯ブラシの上手な使い方や、おやつ、ジュースの選び方などを教えた。

 青木さんはNPO法人「子ども達の環境を考える・ひこうせん」(備前市)の会員だ。自身、6歳の息子の母。1歳の長女を連れてほぼ毎週訪れる主婦杉井美和さん(34)=岡山市中区=は「先輩ママの話は親しみが持てる」とほほえむ。

 親子ふれあいタイムは昨年9月に始めた。同大人文科学部の佐藤和順准教授(43)が、育児サークルの研修プログラム作りで知り合った「ひこうせん」に協力を打診した。

 「大学は学術知識のある教員や充実した施設があるが、育児の現場にはややうとく、イベント運営のノウハウもあまりない。NPOとの連携は、双方の強みが生かせる」と佐藤准教授。「ひこうせん」の赤迫康代代表理事(44)=備前市=も「大学関係者と毎週、顔を合わせることできずなが深まり、新事業のヒントも得られる」と強調する。

 取り組みは、学生の「生」の勉強の場にもなっている。この1年間に開いた、子どもの睡眠やベビーマッサージなど多彩な講座に学生が参加。子どもをあやしたり、親に話し掛けたりしてきた。保育士志望の2年古川雄一さん(19)は「親子と接するのはいい勉強になります」と語る。

 育児NPOと大学の連携には、行政も関心を向ける。岡山県の担当者も、親子ふれあいタイムの運営会議で事業展開に助言する。

 岡山県備前県民局福祉振興課の秋山明男副参事は「大学が地域の人材と連携して魅力あるプログラムを用意できれば、意欲のある優秀な学生が岡山に集まる。将来の保育環境の向上につながる」と期待する。今後、県内の他大学とNPOや企業などを結び付け、交流広場の運営やボランティアの育成事業も本格化させる構えだ。(石川昌義)

(2009.8.25)


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