中国地方 在籍者が急増
中国地方5県の特別支援学校が、在籍者の急増に伴う教室不足にあえいでいる。各校は教室を複数の学級で共有したり、特別教室を転用したりしてしのぎ、各県教委は学校の新設や移転、教室の増改築などの対応に追われている。 ▽教室共有や増築 移転も 中国5県の各県教委によると、特別支援学校の在籍者は計6839人(5月1日現在)。盲、ろう、養護学校時代の2002年は計5186人。7年間で31・9%増えた。特別支援教育への理解が広まり、主に知的障害のある子どもが増えている。 広島市立広島特別支援学校(中区)には現在302人が通う。昨年に比べ43人増え、300人を初めて超えた。7教室が新たに必要になったため、手工室やプレールームを転用。アコーディオンカーテンで仕切った教室もあり、2学級分の白板、ロッカーなどが所狭しと並ぶ。 市教委は12年度の完成を目指し、校舎建て替えの基本設計を策定中だ。今回の増員を踏まえて急きょ、一部を見直し、教室数を増やすという。 福山北特別支援学校(福山市駅家町)も、1999年に60人だった在籍者が222人に膨らんだ。県教委は、10年度末に廃校となる約1キロ南の県立自彊高(同市加茂町)跡へ移転する方針を決めた。 中国地方の各校の増員は高等部で目立つ。広島県教委は「特別支援学校に通えば自立、就職に向けた専門教育が受けられるとの期待が保護者に強まっている」と背景をみる。 岡山県教委は今春、岡山市に高等部単独校を開設した。軽度の知的障害がある生徒を対象に職業教育へ力を注ぐ目的と併せ、生徒が集中する既存校を補う「新たな受け皿」の役割も担う。来年4月には倉敷市にも開く。 島根県も松江市と出雲市の2校で高等部の生徒が増加。県教委は4月、安来市と大田市の県立2高にそれぞれの分教室を設けた。 山口県教委は昨年度、岩国市と萩市の2校を増築した。本年度は宇部市でも着工した。鳥取県教委も増改築の必要性の有無を検討するため、各校の状況を調査している。(田中美千子)
(2009.6.4)
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