中国新聞


不登校経験者 高齢者と交流
歌や踊り楽しむ
広島のサポート校


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学院祭に出演したお年寄りとともに、歌と踊りを楽しむ生徒と保護者

 通信制高サポート校のKTC中央高等学院広島キャンパス(広島市中区)が、不登校などの経験がある生徒と高齢者を交流させる試みを始めた。音楽を通じて表現する楽しさを分かち合い、介護の現場にも触れて、世代を超えたコミュニケーション力などを養う。

 三月にあったKTCの学院祭のステージに、NPO法人あんしん介護支援サービスセンター(東区)に通う七十―九十歳代の高齢者と職員計約四十人が出演した。「千の風になって」の合唱やソーラン節の踊りで祭りを盛り上げた。

 KTCはバンド演奏などの講座が特色となっている。サービスセンターは認知症予防や改善に音楽療法を活用している。両者はかねてから施設外での発表の場を探していた。両施設で講師を務める谷口隆志さん(41)=中区=が橋渡し役となり、交流が実現した。

 ステージの締めくくりに高齢者が戦時中の食糧不足で苦しかった経験を語り聞かせる場面もあった。学院祭の実行委員を務めた谷川瑞輝さん(16)は「恵まれた時代に生きていることをあらためて感じ、励まされた。次は自分たちがセンターを訪ね、演奏したい」と刺激を受けていた。

 将来は福祉の仕事に就きたいと考える生徒も多いことから、音楽だけでなく、介護の現場体験なども視野に入れる。保田隆キャンパス長は「傷ついた子どもたちは、立場の弱いお年寄りに対して特別な優しさを持っている。交流を通して、それぞれの生徒が夢や目標を見つけてほしい」と期待している。(藤村潤平)

(2009.4.20)


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