県立広島病院 成人まで一貫治療
広島県は十四日、県立広島病院(広島市南区)に「成育医療センター」を開設する。妊娠後期から出産後までの母子を対象にした周産期医療の県内拠点である母子総合医療センターを発展・改組。妊娠から出産した赤ちゃんが成人になるまで一貫した高度医療を提供する。中国地方では初めての設置となる。 成育医療センターは八科で構成する。従来は産科▽新生児科▽小児科▽小児外科▽婦人科―の五科。不妊治療を担う生殖医療科▽視覚、聴覚、言語機能をみる小児感覚器科▽小児腎臓科―の専門的な三科を加える。未熟児の専門的な検査や、障害が残った子どもの継続した治療などチーム医療を強化する。 さらに周産期の患者の受け入れ態勢を拡充。産科は三十五床に増床し、新生児科は新生児集中治療室(NICU)のスペースを広げ、経過を見守る回復治療室も増床した。医師二十六人、病棟の助産師・看護師百十七人で、言語聴覚士、視能訓練士などの専門スタッフをそろえた。 母子総合医療センターは一九九五年に開設。NICUのある地域の病院と病床の空き状況などを情報交換し、県内の妊婦の救急搬送の「受け入れ拒否」をゼロにする体制を整えてきた。総事業費は十二億八千万円。 県の赤ちゃんが生まれるときに死亡する確率「周産期死亡率」は二〇〇六年時点で、都道府県中最も低かった。妊娠・出産で妊婦が死亡する確率「妊産婦死亡率」も五番目に低く、全国でトップクラスを維持する。センター長に就任する占部武副院長は「地域の医療機関とさらに連携し、先導的な役割を担う」と話している。 成育医療センターは全国で国立成育医療センター(東京都世田谷区)と松山日赤病院(松山市)の二カ所にある。(高橋清子) (2009.3.13)
|