中国新聞


広々本堂を子育て広場に
呉の真光寺


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指人形で子どもたちに語り掛ける冷泉さん(左から4人目)。近所のママ友も場を盛り上げる

 親子が遊びながら触れ合い、親同士も育児の楽しさや苦労を分かち合う「子育て広場」。呉市広大広の真光寺(冷泉香積住職)もその舞台の一つだ。参拝するシニア世代も加わり、年齢を超えた交流の場として地域に根付いている。(石川昌義)

 ▽参拝のシニアも参加 世代超え交流広がる

 真光寺が月一回開く子育て広場「ミッフィークラブ」。運営するのは冷泉住職の妻彰子さん(44)。約三十人の親子を笑顔で迎えた。

 電子ピアノの伴奏に合わせ、元保育士の彰子さんが指人形で楽しませる。歌を交えた絵本の読み聞かせもあり、子どもたちのはしゃぎ声が本堂に響く。

 子育て広場を始めたのは七月。周辺にマンションや建売住宅が立ち、子どもの姿も増え始めた。「お寺の敷居を低くしたい」と考えていたところ、かつて長男(18)を連れて通った公民館での子育て広場を思い出した。

 親子が自由に遊び、気楽におしゃべりできる場はどこだろう―。「いい広場があるじゃない」。寺で生まれ育った彰子さんは、真っ先に本堂を思いついた。同世代のママ友や隣人に声を掛け、運営を手伝ってもらった。

 本堂で月一回開く小学生向けの「土曜学校」とは違い、広場は仏の教えとは無縁。堅苦しさを感じさせないためだ。それでも、七十二畳もある広い本堂とご本尊は独特の雰囲気を醸す。

 口コミで参加した主婦東智里さん(32)は「お寺の本堂に入るのは初めて。畳の部屋で子どもは伸び伸びするし、親の気持ちも落ち着く」と気に入る。寝そべったり、走り回ったり…。子どもたちの表情も明るい。

 寺ならではの良さもある。参拝や墓掃除のついでに孫を連れて参加するシニアたちの存在だ。いわゆる世代間交流につながる。

 三歳の孫娘とやってきた主婦河崎清美さん(66)は「若いお母さんや子どもと触れ合うと元気が出る。お参りの楽しみが増えました」。一歳の長男と訪れたピアノ講師山本彩湖さん(34)は「おばあちゃん世代は私たちが知らないことを優しく教えてくれる。育児の体験談を聞くと安心します」と喜ぶ。

 「いくつになった?」「(子どもに)好き嫌いはない?」。仏事用の長机を囲むティータイムでは、育児話に花が咲く。最後に歌を歌って「またおいで」。鐘つき堂もある広い境内で、子どもたちは帰宅を促されながらなおも駆け回っていた。

 「ミッフィークラブ」は参加費百円。毎月第四火曜の午前十時から正午まで(十二月と来年三月は休み)。真光寺Tel0823(71)7868。

(2008.12.2)


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