携帯原因9割、低年齢化も ネット犯罪増加の傾向
中国5県10月末で76人 「出会い系」などの異性を紹介するインターネットサイトに絡む、子どもの被害が相次いでいる。児童買春事件に巻き込まれたり、風俗店で働かされたりするケースもある。中国五県での年間被害者数は二〇〇六、〇七年と二年連続で百人を超えた。今年も十月末で七十六人。未成年によるネット犯罪も増加傾向にあり、各県警は対策を強めている。 出会い系サイトだけでなく、コミュニティーサイトやゲームサイトの掲示板も事件のきっかけになる。知り合った相手に呼び出されていかがわしい行為をされたり、裸の画像をサイトに掲載されたりする被害が出た。深夜に連れ回される事例もあった。 はや前年上回る サイトが介在した子どもの心身に悪影響を及ぼす福祉犯罪。中国地方五県警によると、今年の被害者(十八歳未満)七十六人の内訳では、広島が三十七人と最多。岡山二十三人、島根九人、山口四人、鳥取三人と続く。広島、山口を除く三県は、前年の年間合計を既に超えている。 二〇〇三年、出会い系サイト規制法が施行され、翌〇四年からは減少したが、〇六年に再び増加へ転じた。規制法に該当しないネット掲示板を交際目的に使う利用者が増えているのが一因とみられる。 広島県警は「犯罪につながったケースのサイト利用手段の約九割は携帯電話だった」と強調する。一方、内閣府の〇七年の調査では、携帯電話やPHSの利用率は高校生96%、中学生57・6%。小学生でも31・3%。県警生活安全企画課の棟杉孝・減らそう犯罪情報官(45)は「携帯電話の利用が低年齢化し、子どもが、より事件に巻き込まれやすい環境になっている」と指摘する。 「いじめ」に対応 ネット犯罪を起こす少年もいる。広島県警サイバー犯罪対策室によると、今年一月から半年間で、未成年者による事件は二十件発生。六人を逮捕した。 他人のIDとパスワードを使い、ゲームサイトなどを利用した不正アクセス禁止法違反容疑が目立つ。今年は、ネット掲示板に殺人を予告した少年が業務妨害容疑で逮捕された事例もあった。 山口県警は八月から、有害サイトの取り締まりを強化。「ネットいじめ」についても十月から、掲示板に特定の子どもを中傷する書き込みを見つけた場合、生徒指導の教諭や教育委員会との合同チームで個別に対応している。鳥取県警は少年課署員や補導員が、異性紹介サイトの危険性を訴える寸劇をつくり、公演している。 広島県警は「サイバーカレッジ」と題し、携帯電話の使い方などをテーマにした出張講座を展開中。今年は延べ八千人が参加した。県警は「ネットの知識は子どもの方が先行している」として、保護者に受講を呼び掛けている。(田中美千子)
(2008.12.1)
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