本年度推計 10年で倍、格差背景か 広島市教委 家庭の経済的な事情から就学援助を受ける広島市内の児童、生徒が本年度、初めて二万五千人を突破する見通しとなった。十年前と比べると二倍近くに増えた。保護者の所得格差の拡大傾向などが背景にあるとみられる。 市教委によると、九月末時点の受給者は、既に前年度の実績を四百九十一人上回る二万四千八百四十四人。市立小中学校の全児童生徒数に占める割合も25・9%と前年度比で0・4ポイントアップした。市教委は年度内の新たな受給申請を含め、最終的には二万五千二百人余りと推計する。 就学援助は学校教育法に基づき、保護者の経済的な理由で学用品や給食費を自治体が負担する制度。保護者の申請を受けて審査し、必要な額を支給する。広島市内で対象となった児童・生徒は一九九八年度は約一万二千九百人だった。以降、増加を続け、市教委は本年度は横ばいと見込んでいたが、増える傾向は変わらなかった。 市教委は昨年度の企業業績の好調などを踏まえ、本年度は前年度決算額とほぼ同じ十五億二千九百十万円を予算化した。足りなくなったため、十二月三日開会の市議会に提案する一般会計補正予算案に、増加分など約九千百万円を盛り込む。市教委の外和田孝章学事課長は「非正規雇用の広がりなどによる所得格差の拡大傾向が続いている。現在の景気減速が今後どう影響するかも心配だ」としている。(水川恭輔) (2008.11.28)
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