中国新聞


重症者対応へ妊婦分散
分娩料引き上げ 山口県立総合医療センター
来年 他の公的病院並みに


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来年から分娩料を値上げする県立総合医療センター

 山口県は二〇〇九年、県立総合医療センター(防府市)にある総合周産期母子医療センターの分娩(ぶんべん)料を段階的に値上げする。一月の新制度導入に伴う妊婦の負担分を除くと、四月から自然分娩で六万七千円のアップ。利用者が増える中、県内の公的病院の平均並みに引き上げて本来の機能である高リスク医療に集中させるのが狙い。十二月三日開会の県議会定例会に条例改正案を提案する。

 県によると、現在の分娩料は七万千円。国立病院機構岩国医療センターなど、県内十四の公的病院の平均額の十三万九千円を六万八千円下回っている。

 一月は、新生児が脳性まひの場合、母親に三千万円を支給するための産科医療補償制度が導入されるのに伴い、掛け金分の三万円を引き上げる。ただ、健康保険組合などからの出産育児一時金も三万円増えるため、実質負担額は変わらない。

 県独自の増額は四月から。自然分娩▽帝王切開▽院内助産所―に分けて設定し、自然分娩は六万七千円増の十六万八千円。同制度の掛け金三万円を上乗せした公的病院の平均額の十六万八千円とほぼ並ぶ。医療保険が一部適用される帝王切開は十四万八千円、助産師が対応する院内助産所を利用した場合は十一万九千円とする。

 同センターは、早産や高齢出産など高リスクの妊婦に対応する県内唯一の施設として〇六年一月に開所。通常の妊婦も受け入れ、分娩数は〇六年度が六百三十五件、〇七年度が七〇一件と増加した。ただ、高リスクの妊婦の分娩は四割程度で、県は低料金が妊婦の集中を招いたとみる。

 県立総合医療センターの門田栄司事務局長は「医師の負担を軽くしないと重症妊婦への対応に支障が出かねない。料金も他の公的病院並みなので理解してほしい」と話している。(桑田勇樹)

(2008.11.28)


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