腹を突き上げる・背中たたく
学校給食のパンにこんにゃくゼリー…。子どもが食べ物をのどに詰まらせる窒息事故が相次いでいる。救急救命講習を開く日本赤十字社広島県支部(広島市中区)の赤十字救急法指導員西本登勢さん(49)に対応法を聞いた。(石川昌義) 危険招く小さい日用品 死亡事故はいずれも、のどと肺をつなぐ気道に詰まって起こった。「あめ玉、ミニトマト、ブドウ。口に入る小さな物なら気道に詰まる可能性があります」。西本さんによると、三歳児がのみ込む物の大きさの目安は、直径約三センチという。 写真のフィルムケースを使えば、何が危ないか分かりやすい。「乳幼児は何でも口に入れます。食べ物や日用品の大きさを確かめ、危ない物は子どもの手が届かない場所に置きましょう」と呼び掛ける。
■1歳未満は注意 詰まってしまったらどうするか。対処法は「おなかを突き上げる」「背中をたたく」の二つ。ただし、おなかを突き上げる方法は注意が必要だ。内臓を傷つけてしまう可能性があるためだ。一歳未満の乳児には厳禁。幼児や大人に施した場合でも、後に医師の診察を受ける必要がある。 のどの奥に指を突っ込んで物を吐かせる方法はどうだろう。西本さんは「それは胃にある異物を吐き出させる方法。たばこなど中毒性の物をのみ込んだ場合は有効だけど、気道に詰まった物には効果がない」と言う。 ■蘇生は中断なく 応急処置中に子どもが意識を失い、ぐったりした場合は、心臓マッサージや人工呼吸など心肺蘇生(そせい)法が必要になる。心停止状態が長引くと、脳に障害が残る危険性が高まる。「救急車が到着するまでの間、そばにいる人が中断することなく続けることが大切です」 日本赤十字社は各地の支部や病院で講習を開いている。出前講座も受け付けている。広島県内の問い合わせは事業課Tel082(545)5111。 (2008.10.28)
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