校外実践
▽出店の苦労 マナー培う 八日、尾道市古浜町の尾道商高体育館で、一年生の販売実習「浜っ古(こ)」の全体説明会があった。実習は十一月一、二日。「文化祭とは違う。気を引き締めて」。店長役の八人を前に、指導役の三年大居綾子さん(17)の声が館内に響いた。 古浜町の地名をもじった実習は一九九七年に始まった。景気の先行きが読めない中、企業側は即戦力を求める傾向がある。商売の難しさを生徒たちに肌で感じさせてビジネスマナーや職業観を育て、就職戦線に対応する狙いだ。 今年は一年生百九十四人が店長、仕入れ、販売、経理、販売促進、広報の六つの役割を分担。三年生六人も課題研究「経営実習」で、商品の企画や店の運営などを手掛ける。 例年、市中心部の本通り商店街の空き店舗を利用してきたが、今回は東御所町のJR尾道駅前緑地帯に初出店。「より多くの観光客にPRできる」と生徒たちが提案した。 仕入れる商品は、地元企業と連携。市内の業者に乾物や大福、生徒がパッケージなどをデザインしたオリジナルのどら焼きやせんべいを注文。農業科のある県立高からも野菜や果物、花を仕入れ、当日は午前十時から午後三時まで店を構える。 店長役の一年向井裕一君(15)は「本物の客が相手。きちんと対応したい」と気を引き締める。実習担当の梅田敏秀教諭(44)は「企業がまず求めるのがビジネスマナー。商業高校はより高いレベルが要求される」と話す。 二年生は毎年八月、ほぼ半数が地元企業への就業体験に参加する。今年は二十八、二十九の両日、百六人が旅行会社やホテル、スーパーなど四十三社に出向いた。各自「実習日誌」を持ち、自己採点をする。 二〇〇二年からは、生徒が講師役となる出前授業も展開する。市内の小中学校を訪れ、お辞儀や電話での応対、名刺の渡し方などのビジネスマナーを教える。岩原弘泰校長(54)は「単なる職場体験では中学生と同じ。学外へ出て、経験を積むことが大切」と強調する。(榎本直樹) (2008.10.16)
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