岩国市方針 補強や改築視野
岩国市は、市立の保育園と幼稚園の計十七棟のうち六割強の十一棟が現行の耐震基準を適用する以前の施設だとして、園舎の改修へ向けた耐震診断を進める方針を固めた。同市は小中学校の耐震化促進を掲げるが、乳幼児が過ごす施設への対応も急務と判断した。 市こども支援課によると、十五保育園の十五棟(うち旧市四棟)のうち、一九八一年以前の旧耐震基準で建てられたのが十棟(同三棟)と三分の二に上り、いずれも耐震診断は未実施。市教委が所管する幼稚園は旧郡部の二園で、うち一棟が旧基準だが耐震一次診断は終えている。 JR岩国駅東の同市桂町にある、ひがし保育園。鉄筋二階建ての二棟は築三十年余で、ひさしや外壁の一部がはがれるなど老朽化が目立つ。園児は百七十五人。野上奈美園長は「乳児も多く、いざというときすぐ動けない」と不安を漏らす。 一方、市立小中学校五十五校については市教委が、本年度から二十年間かけて計百五棟を耐震化する計画を策定。福田良彦市長は計画を大幅に前倒しする考えで、国の特別措置法に基づく財政支援や米軍再編交付金の活用を検討している。 中国・四川大地震や岩手・宮城内陸地震を受け市は「保育園や幼稚園も耐震化の必要性は高い」と判断、補強や改築を視野に耐震診断を進めるため、関連議案を九月の市議会定例会に提案する方針。 ただ、保育園と幼稚園では国の所管が異なっており、財源確保をどうするかや、私立の施設とのバランスといった課題がある。(広田恭祥) (2008.8.31)
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