訪問看護STに医療機器を配備 広島県 集中治療室を効率運用 広島県は、広島大と連携して新生児集中治療室(NICU)に長期入院している赤ちゃんが自宅療養できるよう、県内二カ所の訪問看護ステーションに小児用医療機器を配備するなど支援態勢の整備に乗り出す。満床状態が続くNICUの効率的な運用と家族の経済的な負担の軽減を図る。中国地方五県では初の試みとなる。 運用は当面、二〇一〇年度までの三年間で、県立広島病院(広島市南区)のNICU(九床)に入院する新生児が対象。家族が在宅療養を希望していることを条件に、二十四時間の看護を必要としない状態であることなどを想定する。 近く、広島大大学院保健学研究科の横尾京子教授を中心に医療関係者らによる協議会を発足させ、ガイドラインや看護基準などのマニュアルを作成する。県看護協会が運営する広島市と呉市の訪問看護ステーションに小児用の吸引機や人工呼吸器などを配備。県立広島病院と協力して、自宅への訪問看護▽通所看護▽ショートステイ―に対応できる態勢を整える。本年度内の運用開始を目指す。 県内では六病院が計三十六床のNICUを確保しているが、満床がほぼ常態化している。一部の病院では、やむを得ず救急病床を利用しているケースもあるという。 厚生労働省の「健やかな妊娠・出産等サポート事業」のモデル事業として取り組む。三年間の事業費は年一千万円を上限に全額国が賄う。厚労省母子保健課は「NICUに余裕ができれば、より多くの命を救える。周産期医療が充実した広島県の実践は全国のモデルケースとなる可能性が高い」と期待している。(門脇正樹) (2008.8.29)
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