中国新聞


家庭トラブル 子どもをケア
広島市、専門員派遣事業スタート


 広島市教委は、育児放棄など家庭でのトラブルを抱える子どもへのケアを拡充しようと、福祉と教育の知識を備えた専門員「スクールソーシャルワーカー」の派遣事業に乗り出した。学校からの要請に応じ、保護者への働き掛けや関係機関との調整に当たる。

 福祉的視点を重視

 市教委内の事務局に一日、社会福祉士、精神保健福祉士たち計三人を配置した。小中学校を中心とする全市立校を対象にする。育児放棄のほか、児童虐待や経済的な困窮など多様なケースを想定。保護者と面談したうえで、行政サービスの活用を助言したり、地域の福祉施設に協力を呼び掛けたりする。

 これまで派遣してきたスクールカウンセラーが校内を拠点に「心の問題」に対処してきたのに比べ、今回は福祉的な視点を重視。必要があれば家庭や地域に出向く。

 近年、家庭でのトラブルが要因とみられる不登校やいじめが多発。教員が対応に苦慮する事案の報告が目立つため、支援体制の強化を決めた。

 文部科学省が本年度から導入した補助事業を活用する。経費は全額を国が負担し、本年度分は五百六十万円。最大でさらに二年度分の延長が申請できる。

 県内では呉、安芸高田市なども近く、小学校を中心に同様の事業を本格化させる。(田中美千子)

(2008.7.4)


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