中国新聞


地域医療へ市民提言
山口県内 勉強会など動き広がる


photo
地域医療の課題を語り合う「すこやか育ち隊」のメンバー(山口市)

 小児救急体制や医師不足など地域医療の課題について考え、解決策を探ろうと、山口県内の母親や大学教員らが勉強会を開き、医師や行政との連携や、市民の側から提言しようとする動きが広がっている。

 ▽医師や行政と連携も

 山口市では母親や大学生ら約三十人が「すこやか育ち隊」を結成し、十一日に初の座談会を開いた。医療体制への不安から病気の対処法まで幅広く意見を交わした。

 メールでのやりとりをベースに月一回、勉強会を開く。医師や行政職員との座談会や母親のアンケートも予定し提言をまとめる。世話人の一人、井出崎小百合さん(41)は「自ら判断し行動する仲間を増やしたい。医師や行政と一緒に語り合える場に」と意気込む。

 全国の市民グループ「知ろう!小児医療 守ろう!子どもたち」(東京)で活動するのは、岩国市の主婦溝田瑩貴(たまき)さん(36)。五月末に地元で小児医療の勉強会を開いたのをはじめ、小児科医を招いた子どもの病気や対処法を学ぶ講座を企画する。

 男女共同参画の視点からのアプローチもある。山口大大学院東アジア研究科の横田伸子教授(45)らは「山口の地域医療を考える市民の会」を設立。子育てや介護で女性の負担が重い現状、女性医師の増加、高齢化の進行などが地域医療に及ぼす影響を調査する。

 医師不足を機に、兵庫、千葉県などでは勉強会などで市民が正しい知識を身に付け、緊急度が低い場合には救急外来を利用しないことなどで医療サイドの負担を減らす活動も盛んだ。

 「知ろう!小児医療…」の阿真京子代表(33)=東京=は「市民が動き始めたのは、ここ一、二年。病院や医師の疲弊ぶりを目の当たりにし、何かしなきゃと皆が真剣になっている」とみている。(高橋清子)

(2008.6.14)


子育てのページTOPへ