中国新聞


18年ぶり「複式」解消
オープンスクールで児童増えた 似島小
きめ細かな指導実現


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単式学級になった教室で授業を受ける5年生

 広島湾の離島にある似島小(広島市南区似島町)が本年度、十八年ぶりに複式学級を解消した。豊かな自然を求め島外から通学する「オープンスクール制度」で児童数が増え、五、六年生で単式学級の定員を満たした。きめ細かな指導ができるようになった教室で、子どもが目を輝かせて授業に臨んでいる。(根石大輔)

 五年生の道徳の授業。担任の天野真也教諭(23)は「どうしたら自転車の違法駐輪が無くなると思う」と問いかけた。児童は「罰金をたくさんとる」「パトロールして注意をする」など厳しい意見。教諭はさまざまな発言にすぐに反応し、意見交換を深めていた。

 五、六年生は当初、複式の予定だった。五年生に男子児童が転入し、県教委の定める「二学年で十七人以上」という条件を満たし、全学年で単式となった。

 複式では、二学年の授業を一人の教諭が担当。一方の児童が直接指導を受けている間は、一方は自習などを行う。単式となったことで、児童一人一人に目が行き届くようになり、授業に集中するようになったという。

 昨年度は複式で教えた一柳智子教諭(28)は「より丁寧な指導ができるのでやりやすくなった」と手応えを感じている。

 オープン制度が始まったのは一九九八年。これまで二十三人が卒業し、現在も全校児童五十人中、二十四人がオープン制度を利用して通学している。小鷹狩俊治校長(56)は「地域の方の協力を得ながら、単式となったことを生かして少人数指導を進めていきたい」と話している。

(2008.6.12)


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