中国新聞


叱り方の鉄則
厳しく短く後を引かず
鯉城学院院長 角谷勝己


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 子どもをきっちり叱(しか)ることはとても重要だが、「叱り方が分からない」という声は多い。塾屋の必須スキルなのだが、本職でも巧拙にかなり差が出るのが現実だ。

 まず、子どもが何か良くないことをしたときには、間髪入れずにすぐ叱るのが鉄則。「今回だけは大目に見て」と見逃してやりたくなるのが親の常。そこには「嫌われたくない」という気持ちがあるのかもしれないが、その程度で子どもは親を嫌いになったりしないのでご心配なく。それに後回しにしたら子どもは自分がしたことすら忘れてしまう。

 叱る時は、厳しく、短く、後を引かないということも心掛けたい。たとえば、授業中に隣の子に消しゴムを投げている生徒がいたら、すぐにその子の机に行き、しっかり目を見て「今消しゴムを投げたね。そんなことをしては絶対にいけない!」と注意する。その後すぐに「さあ授業を再開しよう」と切り替えるようにしている。そうすれば子どもには感情的なしこりが残らない。

 その程度では子どもはきっと同じことを繰り返すと思われる方もいるだろう。確かに一回叱っただけで改善されるなら苦労はしない。だからと言ってだらだらねちねちやっても変わりはしない。一回で聞かなければ何度も叱ってやればいい。

 NGワードもたくさんあるが、「お父さん(先生)に叱られるわよ」というのが特にいけない。叱っている当人の判断をあいまいにし、他者に基準を預けて逃げている。「えっ? お母さんじゃないんですか? ボク、お母さんの判断が知りたいんですけど」という子どもの声が聞こえてくる。これでは聞く耳を持つはずもなく、効果の程も推して知るべし。

 「叱るのって難しいのね」という声がため息交じりに聞こえてきそうだが、ボク自身まともに叱れるようになったのは最近のこと。意識しないと叱り方は変わらない。心当たりのある方は早急に改善の努力を。それだけで救われる子どもはたくさんいるはずだ。

(2008.5.5)


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