中国新聞


妊婦健診に自治体格差
超音波も対応異なる


 中国地方の大半の市町村が四月から、公費負担による妊婦健診の回数を国が求める「五回以上」にするなか、一部で実施の遅れや十分に対応できないケースが出ている。広島市は五回に拡充するものの開始は七月にずれ込み、岩国市は三回に増やすにとどまる。財政事情が主な理由で、妊婦や医療関係者からは「地域格差」を残念がる声が上がっている。

 公費健診の回数拡充は、妊婦側の費用負担軽減と、一回も受診せず産む「飛び込み出産」防止が狙い。厚生労働省は昨年一月、「母子にとって最低限必要」な五回を公費負担するよう、市町村に求めていた。

 広島市は、二回から五回に増やす時期が遅れる理由について、「財政が厳しい上、新年度予算の議決が三月末だったため、周知期間が必要と判断した」(こども・家庭支援課)と説明する。七月からの拡充でも、本年度の負担は二億五千三百万円になり、「昨年度より約一億円増える」という。

 一回増の三回にとどまる岩国市は厳しい財政事情を一番の理由に挙げる。市健康福祉部の高木博部長は「これが精いっぱい。他の自治体に追い付くよう努力する」と話す。

 妊婦健診の定番である超音波検査の公費負担も、対応が分かれる。岡山県では、岡山市と倉敷市を除く二十五市町村で超音波検査も五回以上公費でみる。山口県は大半の自治体が二回、広島、島根、鳥取県内では、多くの自治体が三十五歳以上の妊婦に限定して一回しか負担しない。

 市町村間の格差について、広島市の産婦人科医師は「五回は最低限のライン。五回に満たなかったり、超音波検査が対象にならなかったりするのは納得できない」と指摘している。(平井敦子)

(2008.4.4)


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