広島市教委、小中で今夏から 冷房設置妥当か判断 広島市教委は夏の暑さ対策として、市立小中学校の全教室に冷房機器を設置することの妥当性を検証する。今年夏から十年ぶりに全教室の気温を測定。モデル校では校舎外壁を植物で覆う「壁面緑化」を実施し、室内の暑さを和らげる効果があるかどうかも確認する。年内をめどに結論を出す。 市内の小中学校二百四校のうち約97%に当たる百九十八校は普通教室や大半の特別教室に冷房機器はない。完備しているのは広島西飛行場(西区)の騒音対策などを目的にした六校だけである。 全校の教室の気温については、市教委が一九九八年の七月上旬に調査し、日中(計三回観測)の平均が二七―三四度だった記録がある。 しかし、広島市では昨年九月に最高気温が三〇度を超えた真夏日が二十六日に達するなど、当時に比べて気温が上昇している可能性が高い。夏休み中の学校利用も増えており、市教委は、適正な学習環境の確保や熱中症予防の観点から再調査が必要と判断した。 具体的には七、九月を中心に全校で室温を計測。国が教室の温度について「望ましい」とする三〇度以下かどうかをチェックする。市教委の試算では冷房機器が未設置の教室は計約四千室に上り、導入経費は約七十一億円。期間も五カ年かかる見通しで、リースや民間資本活用による社会資本整備(PFI)も含めて具体化の道筋を練る必要がある。 壁面緑化は小学校二校をモデル校に指定し、環境学習も兼ねて外壁にネットを張ってアサガオなどを栽培する。 政令指定都市では京都市が全校で冷房機器を完備し、さいたま市も設置を進めている。市教委の荒本徹哉学校教育部長は「冷房は機器の放射熱などで環境に負荷をかけるほか、導入費用や電気代という財政的な課題もある。子どもの教育環境の充実とどう折り合いがつけられるのか、慎重に見極めたい」としている。(岡田浩平) (2008.3.19)
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